転職や独立に悩むエンジニアの方へ向け、E3に参加しているエンジニアの皆さんにお話を伺いました。今回はフリーランスのモバイルエンジニアとして活躍中の佐藤さんにインタビュー。これまでの経歴や独立のきっかけ、音楽活動についてもお話いただきました。
ライター:荒井啓仁
就職を機にエンジニアの道へ
ーー大学からエンジニアを志していたのでしょうか?
大学入学時や在学中は全くエンジニアを目指していませんでした。SEとして会社に入った段階ではじめてcontrol+Cを覚えたレベルです。大学は東京に出るのが目的で、音楽をやりたいがために東京に出てきました。
ーーなるほど。今も音楽は続けていらっしゃるのでしょうか?
稼ぎにはなっていませんが、現在も演奏の仕事は依頼があれば引き受けています。
ーー素晴らしいですね。エンジニアとして就職したのは何かきっかけはありますか?
バンドの延長でWebサイトなどは作っていたので、発信するツールとしてパソコンは必要不可欠だと思ったのがきっかけだと思います。就活の段階でパソコンに携わっていきたいという思いはあったので、SE業界に就職しました。
未経験だからこその大変さ。成果が自信につながった
ーー1社目はどういった理由で決めたのでしょうか?
引っ掛かったので入れてもらった……というのはあります。面談時の作文でも「仕事は手段です」と言い切ってました。
ーーでは、当初はエンジニアとして仕事を続ける意識はあまり無かったというか。
あまり無かったかもしれません。初めての業界で仕事の中身も知らず、単純に仕事なのでやる、という気持ちがメインでした。
ーー慣れないうちは大変でしたか?
仕事の段取りが想像できないうちは苦労しました。デスマーチへ参列するなど一瞬の大変さもありましたが、最初の頃は何をしたらどこがゴールになるか、という見通しが立たず大変でした。最初の事業部では仕事はするものの、世の中に実際リリースされて、エンドユーザーが実際利用するというようなプロダクトが2〜3年無く、成果が見えないのはしんどかった記憶があります。
ーー成長を感じたプロジェクトをお伺いさせてください。
立ち上がりから運用まで一気通貫でプロダクトを見れたときは、良い経験になりましたね。世に作ったモノが出て、それが動いているのを見れたときはエンジニアという仕事を実感できました。
ーーなるほど。
あとは、いくつかの炎上案件の手伝いも良い経験になりました。自分の通常の業務と並行しつつ他の現場での作業もやり、その都度何をすれば良いかキャッチアップして成果を出すという順応力は自信にもつながったと思います。同じ現場にずっと留まっていたら、独立するきっかけにもならなかったかもしれません。自分のエンジニアとしての位置を確認できました。
転職ではなく独立。エンジニア職に固執せず働いていきたい
ーー他の現場を経験することで独立につながったんですね。
そうですね。保守ばっかりやっている現状がエンジニアとして生きていく上でデメリットになるんじゃないかと感じたのもきっかけです。それまでの経験を踏まえ、エンジニアとしてどう働くか転職も含めた選択肢の中にフリーランスが入ってきて、独立しました。
ーーもともと独立を目指していたわけではなかったのですか?
手段の1つではありましたが、いろいろな会社を見て、アクションを起こそうというタイミングでフリーランスという業態が一番しっくり来たので独立に至ったと思います。自分自身の性格を鑑みても、そもそも組織に属するのが得意じゃないかもと、気づいたのもありますが(笑)。
ーー独立して良かったことは何でしょうか?
企業やプロダクトではなく、個人にフォーカスして評価される点は好きです。
ーー仕事としてエンジニアを続けるんだと実感したタイミングはいつ頃でしょうか?
辛かった時期も含めて、正社員4〜5年目くらいですかね。ものを作るのは好きで、自分が作って世に出ていったものが人に使われていると実感できたときだと思います。
ーーエンジニアに向いているな、と。
そうですね。パソコンを使った作業も苦ではないし作る過程も楽しいので、合ってなくはないんだと感じました。何か節目があって劇的に意識が変わったというよりは、仕事を続けるうちに徐々に色濃くなったんだと思います。
ーーなるほど……。
めちゃくちゃエンジニアが好きというよりは、何かを作るのが好きなんでしょうね。何か作れさえすればエンジニア職に固執しないのも選択肢かなという気持ちもあります。もちろん、お金になればですが(笑)。
ーー独立してから大変なことは何かありますか?
正直、ぱっと思いつきませんね。強いていえば、会社にいた頃は触れなかったバックオフィス作業を1人でやらないといけないのは大変ですね。毎年の確定申告シーズンは「なぜ毎月こまめにやらなかったんだ」と苦労しています(笑)。
ーーどういった分野でお仕事することが多いでしょうか?
1社目からiOSやJavaスクリプトなど、モバイルエンジニアとして仕事をしています。Androidに関してはβ版から触っていたので、Androidエンジニアというのが一番しっくり来るかもしれません。
音楽活動があったからこそ。今後も常にものづくりの傍らにいたい
ーー音楽での経験がエンジニア職にも活きているでしょうか?
間違いなく活きていますね。学生時代にバンド活動をやっていたのは良い経験でした。楽しむだけの思考というよりは、集客しなきゃいけないというビジネス的な流れを学生時代から意識できたのは大きいです。大げさにいえば起業していたのと同じかもしれません。プロセスや思考、音楽活動を取り巻く周辺を考えるのは、どの仕事にもつながるんだと思います。
ーーなるほど。
楽器を始めてから満足に演奏できるようになったというような、未経験のものを習得するためのプロセスを踏んでいるのもいい体験だったと思います。プログラミングも楽器も、模倣してから自分のものにしていくという概念的な流れは同じですから。
ーー楽器は何を?
中高生くらいからベースを長年やっています。
ーー音楽方面での活動もお伺いさせてください。
バンド活動自体は止まっていますが、横のつながりでサポートに呼ばれたときに出演しています。あとは、定期的に関内にあるフォーク喫茶の箱付きバンドとして演奏しています。
ーー素晴らしいですね! エンジニアとしての短期目標は何かありますか?
今は考え中です。フリーランスになった当初は、エンジニアとしての幅広い知見を得るために短期的に現場を変えていましたが、現在がちょうど次はどうしようかというタイミングでして。ライフスタイルとの両立、金額を上げるためにはどうするかというステップを経て現在に至っているので、次はどうしようかなと。現在は週4ペースで働いているので、それを維持できれば。
ーー長期的な目標はいかがでしょうか?
抽象度が上がってしまいますが、何かを作ることに携わっていければと思います。常にものを作れるところにいれるように、技術のキャッチアップは怠らないようにしたいですね。異業種のところからシナジーが生まれて、音楽と仕事が自分の中で結びついたように、いろいろな面で情報を入れて生きていければと思います。
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・今の就業形態:ほぼフルリモート(月1出社程度)、週4日勤務
・現在の仕事:Androidエンジニア
・得意分野:Android開発
・使用言語・スキル:Kotlin、Java
・仕事で大事にすること:相手に応じて伝えるためのコミュニケーション
・今後やってみたいこと:考え中