E3コミュニティメンバーの皆さんはどんな思いでいま仕事をしているのか。今までの経歴や成功・失敗体験も含めてお話を伺っていきます。今回インタビューしたのは、フリーのインフラエンジニアとして働かれているT・Tさん。かつてはコンサルになろうと転職されたこともあったそうですが、フリーになって気負わずに仕事できているのが性に合っている、と語ります。
ライター:平田提
フリーエンジニアになって気負いがなくなった
――いきなりですが、Tさんがフリーランスになられたきっかけは?
Tさん:直前の転職がうまくいかなかったことですね。それまでエンジニアとして働いていたのですがコンサルに転職したんです。でもあまりうまくいかず、半年ぐらいで退職しました。その後に偶然に知り合った方から「良かったらやってみない?」と仕事に誘ってくれて。それから主に常駐型のフリーランスエンジニアとして働くことになりました。
――フリーになられて、いかがですか。ご自身に合っておられますか?
Tさん:合っていると思います。会社員でいると、当然ではあるのですが、好む好まないにかかわらず上司の意向や方針に従わざるを得ない場面があります。フリーの現場でもそういったシーンはありますが、仕事を続けるかどうかなどある程度自分の裁量で決められる部分が多くあります。それがいいですね。
――肩の荷が下りたというか、気が楽な部分があるんですね。
Tさん:そうですね。会社員のときは将来的なキャリアをよく考えさせられるじゃないですか。しかもそれがゼネラリストかスペシャリストか、と選択肢が少なかったりする。それが葛藤やストレスになっていた気がします。
――いまは主にどんな仕事をされているんですか?
Tさん:主にインフラエンジニアとして働いています。AWS周りやサーバ環境、インフラをつくったりしています。プログラム言語としてはJavaを触ることが多いですが、特定の言語だけでなくPythonやNode.jsなど必要に応じて使っています。
――企業に常駐されているんですか?
Tさん:はい。Webシステムの構築が主な仕事で、オンプレ(自社運用)のシステムをAWSに移行したりしています。現在の案件は、エンジニアに任せる社風があって、好きにやっていいのは働きやすいですね。
――いまのお仕事でどんな瞬間が楽しいと感じられますか?
Tさん:そうですね……楽しいというか「仕事やってる感」があるのは、やはり作りあげたシステムが動き始めたときですね。設計してうまく動くかどうか。問題が出たらどこを見直すべきだったか考えて修正する。基本的ですが、これがやはり面白みだと思います。
「上流に行かなきゃ」は業種・会社の環境のせいかも
――エンジニアになりたいと思われたのはいつ頃からですか?
Tさん:高校を卒業した頃ぐらいでしょうか。多くの人が使うシステムに関わる仕事がしたいと考えるようになりました。子供の頃は『ファイナルファンタジー』シリーズなどゲームにハマっていたので、ゲームをつくる仕事に漠然とした憧れがありました。
ただ、成長するにつれてゲームをあまりやらなくなったのと、自然と興味が実社会に向くようになりました。
――なるほど。学校を卒業されてからはどんなお仕事を?
Tさん:卒業後すぐはメーカーに入社して、携帯電話のミドルウェアを開発する仕事に就きました。当時はC言語で開発していましたね。当時はキャリアによって言語やOSが違って、Docomoだと「Symbian OS」とか、Vodafoneだとまた別だったりしました。私はau向け携帯電話の開発にアサインされていたのですが、そこではBREWと言うフレームワーク上で開発を行っておりました。
――そうなんですね。最初に話されていたコンサルに転職されたのはどういった経緯だったんでしょうか。
Tさん:メーカーにいたときもそうですが、その後就職したSIerの現場などでも、エンジニアが過酷に扱われる状況に疑問を感じていました。そこで「上流にいかないとだめなのかもしれない」という問題意識が芽生えてきたんです。例えばですが、文系学部卒のITコンサルの方が、あまりシステムのことを知らなくても現場のディレクションをやっていたりもして……そこでエンジニアの強みを活かしてコンサルになろうと大学院にも入り直して、28歳の頃に転職をしました。ただ、先にお話したようにその会社では、色々あってうまくいかなかったんです。
――そうだったんですね。転職や独立を経て意識が変わった部分はありますか?
Tさん:こだわりはなくなりました。「上流に行かなきゃ」とかはもう思ってないです。手を動かすエンジニアの仕事が好きですし、フリーで気楽に仕事を受けられるのも自分に合っていると思います。
あとWeb業界の案件で仕事をしてみると、それまでのメーカー・SIerなどと比べて裁量が多いことに驚きました。それに技術者へのリスペクトを感じられたも大きかったです。
――業種・会社の気風というのもあったんでしょうか。
Tさん:そうだと思います。最初に入った会社がWeb業界だったら、転職しようとか上流に行こうとは思わなかったかもしれません。紆余曲折あって今があるんだろうなと思います。
バックエンドから一気通貫で開発できるリーダーを目指す
――Tさんの生活の中での楽しみって何でしょうか?
Tさん:妻や誰かとご飯を食べることでしょうか。独身時代からお酒を飲んだり居酒屋 で談笑したりするのが楽しみでした。
――良いですね。ただいまのコロナ禍でやりにくくなっているのは辛いですね。
Tさん:そうですね。一緒に働く人との人間関係はコロナ禍で変わったかもしれません。去年私が今の現場に入るときの歓迎会を最後に、同僚と飲みに行くことはなくなりましたし、現場での横のつながりは以前より薄くなったと感じています。ただリモートで仕事するのはメリットもあります。リリース等で深夜作業があったりですが、待ち時間は会社にいるときよりも楽になりました。休憩を自分な好きなタイミングで取れますし、自宅と会社間での移動も不要ですし。
――横のつながりが薄くなったとおっしゃっていましたが、何か解消というか人とつながるためにされていることはありますか?
Tさん:オンラインのイベントにはなるべく参加するようにしています。E3コミュニティのランチ会にも顔を出しています。人間関係が希薄にならないようにはしたいんですが、直接会わなくなると難しいですね。
――その点は今後の社会の変化にも期待したいですよね。最後に、Tさんがこれから挑戦してみたいことを教えてください。
Tさん:プロジェクトリーダーやマネージャーのように仕事を動かしていくポジションにはチャレンジしたいです。「上流にこだわらない」という言葉と矛盾するようですが、もっと肩の力を抜いた意味合いでやれたらいいなと。AWSやインフラ、バックエンドなど得意なことからアプリケーションの実装まで一気通貫でできる仕事ができたらいいですね。