E3コミュニティメンバーの皆さんはどんな思いで今、仕事をしているのか。これまでの経歴や成功・失敗体験も含めてお話を伺います。今回お話をしていただいたのは、「株式会社ガラパゴス」で情報システム部門立ち上げに携わるAさん。27歳でエンジニアにキャリアチェンジしたきっかけや、現在のお仕事についてインタビューさせていただきました。
ライター:岡田星羅/聞き手・編集:平田提(株式会社TOGL)
AIを活用したLP制作を進めるガラパゴスで情シスを担当
――株式会社ガラパゴスの事業内容はどんなものなのでしょうか?
Aさん:創業時からスマホアプリの受託制作をメイン事業としていましたが、ここ最近注力しているのは、LPやバナー制作にAIを活用する取り組みです。SEOや売上に効果的なLPを、より速く効率的に作ることでデザイナーが単純作業から解放され、よりクリエイティブな仕事に専念できる仕組み作りを目指しています。
例えばラフからデザインに落とし込む段階で、画像の配置やファーストビューなど、どんなデザインが効果的なのかをAIで判別するようにしているんです。プロダクトの改善によりだんだんとデザイナーの負荷削減にも繋がっていくと思いますが、まだまだ成長の余地がたくさんあるので、日々改善を続けています。
――面白い取り組みですね! 会社の雰囲気はどのような感じでしょうか?
Aさん:自由度の高い雰囲気です。社長自ら従業員全員と対話の場を設け、会社の未来像や従業員とコミュニケーションを取ったりと、経営陣と従業員の風通しも良く、従業員同志も協力しあって物事を進めていけていますね。
情シスは広い知識が重宝される仕事
――Aさんの現在のお仕事についてお聞かせください。
Aさん:ガラパゴスという会社に情報システム部門の1一人目の(正社員)としてジョインして、約3カ月が経ちました。情報システムの部門は立ち上がったばかりなので、業務定義から、社内の人を巻き込んでやっています。
――情報システム部門の立ち上げは、具体的にどんなことをするのでしょうか?
Aさん:情報システム部門は、事業部の裏側でコーポレートやバックオフィスのITを受け持ちます。パソコンの手配をしたり、業務改善のためのシステムの要件定義や開発をしたり、ゼロからインフラを構築することもあります。もちろん、会社の規模や成長フェーズによって情報システム部門の役割もさまざまだとは思います。
弊社は情報システム部門についてはゼロからのスタート。課題はたくさんありますが、そこを推進していく面白さは間違いなくあります。今の時点だと、情報システム部門がルールをつくり、他の部署と連携しながら仕事をすることも多いです。チームを作る動きが求められていると感じます。
――情シスというと、「何か困ったときに電話をする部門」というイメージがあります。
Aさん:その通りですね(笑)。でも私もこの会社にジョインしたばかりなので、質問の全てにすぐ答えられるわけではなく、「代わりに調べてあげる」ところがあります。調べて、試して、改善して。それらが全て自分の知見になっていってますね。
――一つのジャンルに限らず、いろんなお問い合わせが来るのでしょうか?
Aさん:そうですね、PCの話をしていたと思ったら、システムや内部統制、そして事務所のセキュリティの話になることがよくあります。特にスタートアップでの情シスの仕事には、一つのことを深めていくというよりは、広い知識が重宝されると思います。
弊社はPC系の質問より、運用に関する質問が多いです。例えば「これから入社する方が高スペックのPCを要求してきているが、対応すべきか」と意見を求められるようなものです。アカウント周りの「誰が何の契約更新をやるのか?」といった相談も多いですね。こういう場合は情報システム部門側がルールを打ち出し、情報システム部門の業務範囲を定義します。
――そもそもなぜ情報システム部門を作ることになったのでしょうか?
Aさん:会社が上場すると決めたタイミングで、IT周りを管理する部門がないと耐えきれないという課題感があったそうです。情報システム部が無いとで監査的にも”統制が取れていない”と判断されやすい可能性もあったんです。
メーカーの特許管理→エンジニア→情シス。キャリアチェンジのきっかけは
――キャリアはどのように歩まれてきたのでしょうか。
Aさん:8年ほど前、27歳まではメーカーで特許管理をしていました。特許の出願や知財管理を扱っていたのですが、自分がこれからも同じ場所で働き続ける姿がイメージできなかったんです。かといって、他にやりたいことが明確にあるわけでもなく。
「自分はこれからの人生で、どう働いていくか」を考え続けていたとき、スマホなどの普及もあり、エンジニア・プログラマーという職種に興味を持ちました。未経験で挑戦するのはかなり大変だと思っていたので、興味や憧れはありつつも決断しきれず、1年くらい悩んでいました。
でもあるタイミングで、「取得を目指している知財管理に関する国家資格がだめだったら、エンジニアにチャレンジしてみよう」と決めたんです。結果として国家資格は不合格になってしまったのですが、未経験OK・常駐エンジニアの募集が見つかり、そこに応募しました。「もしエンジニアが向いていなかったら、またそのとき考えよう」と。
――エンジニアとしてキャリアをスタートした後は、どんなお仕事をされていたのですか?
Aさん:初めはSESに入りJavaの案件からスタートしました。小規模ながらもWeb制作会社でバックエンド、フロントエンドを担当したりしましたね。その後はフリーランスになり、エージェントから紹介いただいた企業に入って、開発案件をやっていました。コーディングしたり、システム改修したり、サーバーやデータベースをいじったり。
――扱うプログラミング言語は?
Aさん:特別好きというわけではなかったのですが、これまではPHPが多かったです。たまにPythonをやってみたり、フロントエンドでReactやVue.jsを触ってみたり。エンジニアとしてスタートしたのも遅かったので、30歳前半くらいまでは業務で知識を吸収し、独学でも勉強を続けていました。
最近ではプログラミングは業務のほんの一部で、サーバやデータベースやデプロイ環境の構築などサービス開発に必要なところを全て受け持っている感じです。
――情報システム部門の仕事は以前も経験されていたんですか?
Aさん:前職で情報システム部門の業務を幅広く経験しました。エンジニアは大変だったのですが、情報システムに触れてから、初めて面白いと思うようになりました。
――情報システム部門の面白さはどこにあるのでしょうか?
Aさん:自分の性格的に、誰かに期限を決められ、急かされるのがあんまり向いていなかったんだと思います。しかし情報システム部門は上流から携わるケースが多く、開発言語、アーキテクチャやルールなど、ゼロベースで自分でやれることを決められたりできるんです。
自分で仕事をコントロールするのを繰り返すことで、スピードと質が上がって仕事がどんどん楽しくなっていきました。
また、明確な解が存在しない課題に直面した時でも自分なりの考えを示し、繰り返し実践することで更に良いものが出来たり、自分の知見が積まれて成長できる面白さもあります。
――ガラパゴスの入社の決め手を教えてください。
Aさん:フリーでエンジニアをやってるときも、自分の市場価値は常に確認したいと思い、転職サイトに登録していたんです。企業はどんな人を求めているのかを確認するのが目的でした。そんな中でガラパゴスからスカウトメールが来て。。情シスの立ち上げや上場を経験できるのが魅力だったので、スカウトを受けてみることにしました。
リモートワークで仕事と子育てを両立
――お仕事以外はどのような生活をされていますか?
Aさん:3人いる子供が中心の生活ですね。平日は保育園への送り迎えをしたり、休みの日はどこかに連れて行ったり、家で遊んだりですね。
――大変だとは思いますが、それが息抜きにもなっていそうですね!
Aさん:そうですね、仕事から強制的に頭も身体も離れざるを得ないので。子供が通っている学校や保育園の話を聞くのも楽しいです。
――リモートワークだからこそ、仕事とプライベートの時間の分け方は難しそうですね。
Aさん:会社自体はフレックスなのですが、個人的に仕事の時間は固定するようにしています。同僚も子育て世代が多いので、夜遅くまで仕事するということはほぼないですね。限られた時間の中でパフォーマンスを発揮し、夜は子供たちのために時間を使っています。
ジェネラリストとして文化や組織をつくっていきたい
――今後やってみたいことを教えてください。
Aさん:エンジニアを経験したからこそ分かるのですが、自分はおそらく、ひたすらプログラミングができるタイプの人間ではないです。だからこそ幅広い知識を身につけ、文化や組織を作っていきたいです。プログラミングは好きですがあくまでやりたいことや目的のための手段の一つとして使っていくつもりです。
あと、実は一度は会社をやってみたいという気持ちもあるんですが、その一方で東京での生活に区切りをつけて、山と海に囲まれる生活をしてみたいと思っています。仕事は今どこでもできるからこそ、一つのことに縛られすぎず生きていきたいですね。