ストレス・肩こり・腰痛、それに疲れ目に悩まされていないでしょうか。画面をずっと見てキーボードを打ち続ける。そんなエンジニアの皆さんが少しでも疲れにくくなるかもしれないヒントが書かれた本を3冊ご紹介します。
ライター:平田提
1.『疲れない脳をつくる生活習慣』
最近よく耳にする「マインドフルネス」とは「いまこの瞬間を最大限に味わうこと」。Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ」など大企業でもマインドフルネスを福利厚生の一部に取り入れ始めています。
『疲れない脳をつくる生活習慣 働く人のためのマインドフルネス講座』(プレジデント社)の著者、石川善樹さんは予防医学研究者・博士。医学にとどまらずカルチャーやテクノロジーを横断したコラムを『WIRED』などで連載されています。
この本にはすぐに真似できるマインドフルネスのコツが書かれています。
例えば水をよく飲むこと。するとまず代謝がよくなる。トイレによく行くようになるので定期的に立つ=腰痛になりにくい。座りすぎは腰痛や他の健康リスクが高いからです。
またPCモニターを目線の高さにするのも推奨されています。キーボードはなるべく外付けにし、膝の上かその近くに置く。そして座り方のおすすめはズバリ「坂本龍馬の写真」の姿勢(伝わるでしょうか……)。背筋をピンと伸ばしガニ股で脚を広げた姿勢です。猫背になると背骨が曲がり、腰痛になりやすくなります。またモニターを下向きに見ると首がはり肩こりの原因に。
その他、疲れにくい睡眠や食事のコツも書かれた、おすすめの本です。
『疲れない脳をつくる生活習慣 働く人のためのマインドフルネス講座』(石川善樹
/プレジデント社)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01BDB1LIE/
2.『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』
「瞑想」と聞くとどんなイメージを抱かれるでしょうか。宗教っぽくて怪しいと思われる方もいるかもしれません。実際、そういうものもあるのですが……前述したマインドフルネスの流れで、科学的な裏付けを深めた瞑想が広まってきています。
「Calm」や「Meditopia」など日本語に対応した瞑想アプリも増えてきています。
『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』の著者アンディ・プディコムさんはアジアをめぐり僧院で修行した末、イギリスで瞑想を広める団体headspaceの創始者に。headspaceはアプリも使いやすいのでおすすめ(日本語版まだ)。UIやアニメーションは使いやすくかわいらしいです。
https://www.headspace.com/
この本やheadspaceが勧めるのは呼吸瞑想。仏教の「ヴィパッサナー瞑想(曹洞宗などの「只管打坐」にも通ずるものです)」を元にしつつ、あくまで科学的なアプローチをしています。
瞑想のやり方は以下。
ほぼこれだけです。
この本ではアンディさんと瞑想の師匠や、ストレスや心の問題に悩む人たちとの対話が収録されています。ストレスや対人関係で悩む方にはヒントがあるかもしれません。
個人的に2年近く瞑想を続けていますが瞑想は「脳のデフラグ」だと思っています。頭がスッキリして、終わってからアイデアが出やすくなる傾向があります(個人の感想です)。
『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』アンディ・プディコム(著)満園真木(訳)/辰巳出版
https://www.amazon.co.jp/dp/B08HC9JPH3
3.『7つのステップでスマホを手放す 退屈すれば脳はひらめく』
TwitterやSlackなどツールがたくさんあるのはいいのですが、まるで自分が分裂するかのように、時間や感覚を切り売りしているかもしれないのも事実。
ニューヨークの公共ラジオ放送のディレクターだった『退屈すれば脳はひらめく』の著者マヌーシュ・ゾモロディさんは、1週間スマホを手放す「退屈すれば脳はひらめく」プロジェクトを番組で開始。実験終了後、70パーセントの参加者が「考える時間をしっかり持てた」と回答。
この本では身体や心の状態に集中するマインドフルネスと一見対義語のように思える「マインドワンダリング(心がさまようこと)」について書かれています。そのバランスがどうやら大事であると。退屈はひらめきを生む、とも。
『指輪物語(映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作)』の作者J・R・R・トールキンがもう一つの代表作『ホビットの冒険』は、オックスフォード大で採点の業務に飽き、白い紙に書き出したメモがきっかけ。
スティーブ・ジョブズもまた「私は退屈を大いに信じている。テクノロジーはどれもすばらしいが、することがないのもまたすばらしい」と言っていたそうです。ジョブズもまた禅、瞑想に若い頃から惹かれた人ですね。
この本ではTwitterやSlackの通知に反応してから作業に戻って集中できるようになるまで23分15秒かかるなんていう調査も紹介されています。
「創造力の高い人はドーパミンの分泌量が多い。しかしその量には限りがある。それを創造的な仕事に使うのか、Twitterに使うのか」「スマホは子供みたいなもの。邪魔していいとき、ダメなときが分からない。ルールを教えないといけない」という言葉が印象的でした。
『7つのステップでスマホを手放す 退屈すれば脳はひらめく』
マヌーシュ・ゾモロディ(著)須川綾子(訳)/NHK出版
https://www.amazon.co.jp/dp/B077LTKMNB
まとめ
リモートワーク中心になると、モニターに向かう時間は増えがちではないでしょうか。かつ自宅で作業していると、切れ目なくやって疲れてしまうことも。今回紹介した3冊が少しでも皆さんのストレスや疲れの軽減のヒントになれば幸いです。