「最終的に宇宙に行きたい」テストエンジニアとして働く川久保さん(E3メンバーインタビュー)

on 2020.10.29

E3コミュニティメンバーの皆さんはどんな思いで仕事をしているのか。今までの経歴や成功・失敗体験も含めてお話を伺っていきます。今回インタビューしたのは川久保太さん。ある企業でフリーのテストエンジニアとして働かれています。もともとはCGを学び、探偵を志した川久保さんの野望は宇宙に行くこと!? 会社員「あるある」の話も伺いました。


ライター:平田提

いまの仕事につながるまで。エンジニア×探偵のような動き?

――川久保さんはいまどんなお仕事をされているんですか?

川久保さん:いまは医療系サービス企業でフリーのテストエンジニアとして働いています。コロナ禍になってから製品がよく売れるようになり、開発・問い合わせの案件が増えていますね。QAがメインなんですが、仕様書を書いたり、ビジネス側の調整をしたりPMもやっている状況です。

――エンジニアの仕事はどういう経緯でスタートされたんですか?

川久保さん:学生時代は専門学校でCGのプログラムを書いていたんです。就職したのが外資系のセキュリティ関連企業で、そこでネットワークの仕事を覚えました。ただ残業が多いしあまり楽しくなくて……脱出先(転職先)をじんわり探していました。そこでリーマンショックが来て、そのタイミングで辞めました。

――最初の会社を辞められてからはどうしたんですか。

川久保さん:転職しようにも、自分はエンジニア以外にはお金をもらえる業種がないなあと思ったんです。大企業はなかなか中途採用がない時期で、私は他の業種の経験がありませんでした。その後はニートをしたり、いろんな会社でサポートエンジニアやセールスエンジニアの仕事をしていましたが、2016年頃にフリーになりました。QA会社に所属して、いろんな現場に行って、プロジェクトが終わるとすぐ他の企業に移動するようなサイクルでした。

その中で、独立前の大津さんに出会い、お仕事を紹介してもらいました。

――そうだったんですね。E3コミュニティに参加したのはどんなきっかけだったんですか。

川久保さん:大津さんの前の会社のメールアドレスにメッセージを送ったら、どうやらもう在籍していないことが分かったんです。そこでGoogle検索して調べ上げて、E3に辿り着いて連絡しました。

その頃は炎上プロジェクトの立て直しをしていたんですが、ほとほと疲れていたところ、今の会社を大津さんに紹介してもらいました。

CGの学校にいたので、ビデオ撮影や編集ができることもあって、E3ではイベントの撮影やアイデア出し、「Androidの会」の運営に関わっています。

――そうなんですね。しかし、ググると大概のことは分かる時代ですね。

川久保さん:本当にそうですね。学校を卒業したあと、仲が良かった学校の先生に連絡をしたらそのときも学校に既に在籍していないことが分かって。それでググったり、別のルートで調べたりしたら先生が書いた論文が見つかったんです。そこにあったメールアドレスから連絡を取りました。

――探偵みたいですね……。

川久保さん:まさに僕、昔は探偵をやろうとしていこうとしていたことがあったんですよ。直感を使ったり、いろんな背景から居所を特定したりするのは面白そうだな、と。 

でも実際に探偵をやってる人の話を気いたらどうやらきつい仕事だと分かって。不貞行為のターゲットを張り込むとき、ずっと外で待っていなきゃいけないんですよ。トイレにも行けないから、オムツをしてなきゃいけないらしい。それは肉体的についてなさそうだな……と思って辞めました(笑)。

リモートワークで浮き彫りになった、会社のトイレ・二酸化炭素問題


――いまのお仕事、お忙しそうですが息抜きはできていますか?

川久保さん:いまはフルリモート(ワーク)になったので、近所のコンビニに買い出しに行ったり、エアロバイクを漕いだりするぐらいですね。ただ在宅になって良いのは、シャワーやトイレを好きなタイミングで行けることですよ。またシモの話になってしまいますが……会社の個室に並んで待つ時間って無駄な時間じゃないですか?

――(笑)。分かります。フロアの人数に対してトイレの個室の数が足りてないんじゃないかと思うときがありますよね。

川久保さん:男性の場合、労働安全衛生法でトイレ個室の数は60人以内ごとに1個以上と決まっていたはずです。でも守られていないのかもしれません。良くないことだけど、トイレ個室を求めてビルの他の会社のフロアをふらふらしてしまうことも……。

――ありますよね。でも後でクレームが会社に入ったりして困ってしまう。

川久保さん:そうそう。個室に人が集中する時間帯ってだいたい決まっているんですよね。

――トイレの話で盛り上がってしまいますが、会社で働く人「あるある」なんじゃないかと。

川久保さん:私の会社は案件が増えて増員したはいいものの、席がなくてフリーアドレスとリモートワークの人が増えているので余計にトイレ事情が大変になっているのかもしれません。

あと造船所で働いていたときに知ったんですが、日本のオフィスで働いて眠くなってくるのは、二酸化炭素濃度や換気装置の能力不足が原因のことが多いんです。今は自宅の部屋に二酸化炭素濃度計と、熱交換器、第一種換気装置をつけています。

――それはすごい! 二酸化炭素濃度と眠気の関連性は知りませんでした。

どんどんハードになるテストエンジニアの待遇改善を

「mabl」Webサイトより( https://www.mabl.com/japan

――ところで今さらなのですがテストエンジニアのお仕事ってどんなことをされているんでしょうか。

川久保さん:大きくはシステムやソフトウェアに問題がないかチェックする仕事です。私は主に会社の主力商品の開発前後のテスト計画から検証、実際の修正、プロジェクト全体の管理にも関わっています。

現場によって違うとは思いますが、昔に比べて今はフレームワークを使った開発が増えてきているので、テストの負荷の方が高い場合もあります。ただテストエンジニアって不遇なんです。不具合を出したら怒られるし(笑)。これも業務内容や企業によって違うと思いますが、海外と比べると給料もそんなに高くない。海外だと年収700~1200万円のテストエンジニアは多くて、開発者レベルじゃないとついてこられないレベルになっている。日本でもそういう環境は多いですが、年収400~500万円であることが多いです。

――なるほど。そういった状況があるんですね。

川久保さん:大津さんと個別に考えているのは、高給をとれるテストエンジニアをE3に集めようということ。そのためには、テストエンジニアの能力を認定するにはどうすればいいか、認定する仕組みを考えています。 

――良いですね。ところで最近何か新しく勉強されていることってありますか?

川久保さん:自動テストツールをいくつか試して、会社の業務に導入できるか検証中です。

――寡聞にして存じ上げないんですが、自動テストツールってどんなものなんでしょうか?

川久保さん:エラーチェックツールは今までもありましたが、自動テストツールはエラーを確認したら、修正自体も機械学習で自動で行えるタイプが増えてきているんです。

ブラウザのアドオンで行動記録を録れるものもあります。

――それは便利ですね。代表的なテストツールってどんなものがあるんでしょう。

川久保さん:日本発だと「Autify」( https://autify.com/ja )があります。ただこれはプロキシ設定が使えないんですね。海外発だと「mabl」( https://www.mabl.com/japan )や「Testim」( https://www.testim.io/ )があります。サポートが英語のみなのですが、特に「mabl」はプロキシが使えるので私の会社では候補に上がっています。自動テストツールでなるべく作業を減らして、会社の業務フローをもう少しスムーズに回るように改善シたいなと思っています。

固まったお金が手に入ったら、北海道…最終的に宇宙に行きたい

――川久保さんが今後やってみたいことは何かありますか?

川久保さん:エンジニアたちでE3の子会社をつくって上場させたいなあなんて野望はあります。固まったお金が手に入ったら、地方で余生を送りたいです。北海道とかで。

――いいですね。なんで北海道なんですか?


川久保さん:僕、最終的には宇宙に行きたいんですよ。

――来ましたね。大きい夢。

川久保さん:ロケットを打ち上げるには重力の影響を下げるためになるべく赤道に近いほうがいいんですが、北海道はとにかく広い。 堀江貴文さんが出資する宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズも北海道。宇宙企業が固定されていて、種子島を使わせてくれない事情もありそうなんですけど。

宇宙に行きたいって言うと、周りには冗談みたいに捉えられることもありますが、いつもつまらないと思ってるから面白いこと探してるわけです。同じことばかりやっているとつまらないじゃないですか。一番未開の分野って宇宙だし、面白みを感じるのはそこです。日本の凋落と希望の無さと退屈さを、自分なりに楽しく希望があるようにしたいんです。

あとは宇宙開発をして良い建築ロボットが出来たら、建築業界の改革にも関わってみたい。日本の家は壁が薄くて、寒い。それを安く良い家に住める仕組みをつくってみたいですね。

――川久保さんの興味や知識が宇宙に向かってつながっていっている感じがしました。今日はありがとうございました!







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