キャリアに悩むエンジニアの方に向けて、E3に所属するエンジニアの方にお話を伺いました。今回はエンジニア×地方移住をテーマに、5年前に埼玉から福岡に移住したフリーランスエンジニアのSさんにインタビュー。移住後の働き方や地方移住のメリットについてご紹介します。
Sさんの略歴
フリーランスのクラウドエンジニア。新卒でプラントエンジニアとして3年働いた後、IT業界にキャリアチェンジ。東京のIT企業でエンジニアとしてのキャリアをスタートする。2017年の福岡移住のタイミングで転職し、4年間務めた後2021年に独立。現在は、アプリケーションエンジニアとして、データプロセッシング(データ加工)システムの開発などを行う。
地方移住は子どもがきっかけ?エンジニアが埼玉→福岡に移住した理由
ーーSさんは埼玉県出身とのことですが、なぜ福岡に移住したのでしょうか?
移住は私ではなく、妻の希望だったんです。妻が福岡の北九州市出身で、子どもができたタイミングで「子育てをするなら地元がいい」ということだったので、福岡に移住することにしました。
ーーなるほど。移住に関して、不安を感じることはなかったのでしょうか?
ITエンジニアという職業上、ネットとパソコンがあれば場所を選ばずに働けます。また、以前に3年ほど北九州市に住んだ経験があり、いい街だということは知っていました。
ーー実際に移住した後はどうでしたか? 生活にはすぐに馴染めたのでしょうか。
私たち夫婦にとって馴染みのある地域だったので、違和感なく生活をスタートできました。子育てや生活面で困ったことがあれば近くに住む妻の両親を頼ることができましたし、ストレスや違和感よりも、むしろ安心感が大きかった気がします。
ーー移住をして特によかったと感じるのはどのような部分でしょうか?
家族の笑顔が増えたのが一番よかった点ですね。また、海や山が近かったり、車で少し行けば海鮮が有名な山口県の市場に行けたり、週末の過ごし方がアクティブになりました。自然が豊かで食べ物が美味しいので、「観光が日常になった」という感覚です。また、関東に比べて物価も家賃も安く、生活にゆとりが生まれたのもよかった点ですね。
働き方や情報量が違う?エンジニアが感じた「都市と地方のギャップ」
ーー移住時はフリーランスではなく、会社員だったとのことですが、仕事選びはどのようにされたのでしょうか?
当時はまだリモートワークが現在ほど普及する前だったので、東京本社で福岡支店があるIT企業に転職しました。
ーー移住後の働き方でストレスを感じることはありませんでしたか?
ネットとパソコンがあれば成立する仕事なので、住む場所が変わってもやることは大して変わりません。なので、特にストレスを感じることなく仕事ができたと思います。ただ、お客さんが東京の企業から福岡の企業に変わったので、そういう面では少しギャップを感じることがありました。
ーーどのようなギャップを感じたのでしょうか?
私の場合「クライアントのシステムをオンプレからクラウドに移行する」ような仕事を受けることが多いのですが、東京に比べると福岡の企業はシステムがレガシーな傾向があります。元になるシステムの知識や経験がないと、クラウドへの移行が上手く進められないので、最初は少し戸惑うことがありました。
ーーそのギャップにはどのように対処したのでしょうか?
幸い過去に扱った経験のあるシステムだったので、記憶を掘り起こしながら作業を進めることができました。未経験だったらお手上げだったかもしれません(笑)。
ーーその他、エンジニアとして働く際に地方移住をして感じたことや気になったことはありましたか?
東京に比べると、新しい技術や情報に触れられる頻度が少ないと思います。特に対面の勉強会やイベントは数が少ないので、最初はどうやって情報をキャッチアップするかに苦労しました。最近はオンライン学習が盛んになりましたし、リモートで勉強会やイベントにも参加できます。以前に比べるとギャップは小さくなっていますが、情報量という意味ではやはり東京に分があるかなという印象です。
マンネリ解消に、地方移住は一つの選択肢かもしれない
ーー生活面・仕事面で移住にはメリットもデメリットもあるようですが、総合的に見て移住してよかったと感じますか?
仕事面でやや課題を感じることもありましたが「慣れれば問題ない」というレベルで、現在はストレスなく仕事ができています。物価や家賃の安さ、頼れる親族が近くにいる安心感、休日の過ごし方のバリエーションなどのメリットを考えると、移住は大正解だったと思いますね。
ーー地方移住はエンジニアにおすすめできる働き方・生き方といえるでしょうか?
現状にマンネリを感じられている方には、すごく良い刺激になると思います。働く場所をガラリと変えることで、モチベーション・集中力が向上する感覚がありますし、いろいろな地域に住み、その地域の人と関わることで、自分の価値観や考え方も変化します。エンジニアは地方移住と相性が良い働き方なので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてほしいですね。
ーー地方移住をする上で、エンジニアが準備しておいた方が良いことはありますか?
先ほどご紹介した「クライアントがレガシーなシステムを利用していた」というケースもあるので、業務範囲を拡げておいた方が、多種多様なお客さんの要望に対応できると思います。特に地域企業と仕事がしたいという方は、幅広い知識や業務経験を積んでおくと良いかもしれません。
ーーその他、移住をする上で注意すべきことやポイントはありますか?
独身であれば好きなところに住んでも問題ないのですが、家族がいる場合は子育てのしやすさなど、ぜひご家族の意見を優先してください(笑)。親類が近くにいるなど、サポートが受けられる環境があれば、いざというときに本当に心強いですし、仕事にも集中しやすい環境が作れると思います。
ーーありがとうございます。最後に、今後の展望や目標があれば教えてください。
「地域社会に貢献できるような事業・サービスを立ち上げること」「海外移住に挑戦すること」など、今後の目標はたくさんあるのですが、一番大切にしたいのは「死ぬまでエンジニアとして働くこと」です。子どもが大きくなるまで、しばらくは北九州に住むと思うのですが、自由に住む場所を点々としながらエンジニアとして生涯をまっとうできれば最高ですね。