北海道に移住したエンジニアが語る地方の魅力。移る前にチェックすべきこと

on 2023.06.23
北海道に移住したエンジニアが語る地方の魅力。移る前にチェックすべきこと

キャリアに悩むエンジニアの方に向けて、E3に所属するエンジニアの方にお話を伺いました。今回はエンジニア×地方移住をテーマに、埼玉から函館市近郊にある七飯町に移住したフリーランスエンジニアの若旅さんにインタビュー。移住後の働き方や地方移住のメリットについてご紹介します。

若旅友樹さんの略歴


2011年、Web制作会社にてマークアップエンジニアとしてキャリアを開始。その後、ソフトウェアハウスでJavaエンジニアとしてシステム開発を担当。株式会社うるるではフロントエンドとサーバーサイドの開発を通じ、基幹サービスの機能改善や新規サービスの立ち上げを経験。現在はフリーランスとして、北海道の七飯町に在住しながら、フロントエンドを専門領域として各企業を支援。


思い出の生家を残すために。妻の出身地「七飯町」に夫婦で移住

▲大沼国定公園から望む駒ケ岳(七飯町)

ーー若旅さんは埼玉県出身とのことですが、七飯町に移住した理由を教えてください。
移住は私ではなく、妻の希望でした。七飯町は妻の出身地で「空き家になりそうだった生家を守るために移り住んだ」という感じですね。

ーー「守るため」ということは空き家になる可能性があったのでしょうか?
そうですね。妻の生家には両親の知人が住んでいたのですが、2020年末にその方が引っ越すことになりまして......。それで生家に住む人がいなくなり、別の人に貸すか、売却するかという話になったんです。信頼できる貸し手を見つけるのは大変ですし、家族の思い出の場所を売却するのも心苦しいということで、夫婦で住むという決断に至りました。

ーーなるほど。移住に関して、不安を感じたりすることはなかったのでしょうか?
当時すでにフリーランスとして働いていたので、大きな不安はなかったですね。また、実現はしなかったのですが、以前働いていた会社で北海道に異動する話があったりして、なんとなく縁がある土地という印象があったんです。おぼろげではありますが「いつか北海道に移住してみたい」という願望もあって、予想よりもそれが早く叶ったという感じでした。

ーー実際に移住した後はどうでしたか?生活にはすぐに馴染めたのでしょうか?
妻の両親と古くからご近所付き合いしてきた方々や幼馴染が近くに住んでいる状態だったので、私たちのことを違和感なく受け入れてくれました。まだ子どもがいないこともあって、地域の方々と関わる機会はそこまで多くないですが、現状はとても安心して過ごせています。

ーー移住をして特によかったと感じるのはどのような部分でしょうか?
まずは住環境ですね。家がシンプルに大きくなったので、とても快適です。妻も私も、お互い自宅で仕事をしているのですが、ストレスなく働けています。また、首都圏に比べて人が少ないのもポイントで、都会生活で生じるあらゆるストレスから解放された感覚があります。食事も本当に美味しいですし、埼玉に住んでいた頃と比べて、心にゆとりが生まれたと感じています。


首都圏とのつながりを確保し地方で暮らす。地方移住エンジニアの働き方とは?

▲自宅作業風景

ーー生活面では大変満足されているようですが、仕事面ではどうでしょうか?
仕事面も満足しています。人と一定の距離感を保てるリモートワークという働き方が自分に合っていると感じますし、先ほどお話をしたように家が大きくなったので、働く環境もとても快適です。

ーー今後に関してはどうでしょうか?仕事面で不安を感じていることはありますか?
コロナ禍が終息に向かいつつあることもあり、現在リモートワークからオフィスワークへの揺り戻しが起こっています。自分のクライアントの中にも、「完全リモートから週1は出社へ」といった動きが起こってもおかしくありません。そうなると、私のような遠方に住んでいるエンジニアの優先度は下がってしまうので、「自分の価値を今よりも高める必要がある」という危機感を感じています。

ーーなるほど。具体的に考えている対策などはあるのでしょうか?
まず、リモートでも問題ないと思ってもらえるようなコミュニケーションを意識することが大切です。また最先端の情報や技術をインプットして、スキルをアップデートするといったことも継続的に行う必要があります。物理的な距離が近い近隣企業から案件を受けられればいいのですが、現実的には難しいところもあるので、働き方に関係なく仕事を依頼されるエンジニアになる必要があると感じています。

ーーそういう意味では、一定のキャリアやクライアントの有無は地方移住するためには欠かせないのかもしれませんね。
クライアントがいない状態だと難しいのでは?と感じるのが本音です(札幌・福岡・仙台などの大きめの都市の場合はこの限りではありませんが)。首都圏に比べると企業数が限られますし、IT関連の案件数もやはり限られてきます。首都圏とのつながりを確保しつつ、地方での可能性を見出していくという方法が良いかもしれません。


理屈なしに愛着が持てる場所へ

▲七飯町に隣接する函館市街の風景
ーーエンジニアとして地方移住をすることにはメリットもデメリットもあるということがわかりました。総合的に見て、地方移住とエンジニアという働き方は相性が良いのでしょうか?
「人による」というのが結論です。私のようにリモートワークが合う方にはぴったりだと思いますが、対面を重視する人にとっては難しいでしょう。ただ、パソコンとIT環境があればできる仕事なので、対面でもリモートでも働き方の選択肢が多いのは間違いないと思います。

ーー将来的に移住を検討しているエンジニアの方もいると思うのですが、仕事面でも生活面でも、もしアドバイスがあれば教えてください。
仕事面でいうと、光回線が通るのかとか、IT環境のチェックは事前にしておいた方がよいですね。またネット回線がダウンした際にテザリングで仕事が継続できるのかも大切です。私の場合は、5G、最低でも4Gの回線が供給されているかを確認しました。

生活面でいうと、移住を検討している地域に同年代の人がどれくらい流入しているかを確認しておくのがおすすめです。同年代の流入が多くて、かつ定着していれば、一定の暮らしやすさがあると判断できます。また、首都圏や実家などへのアクセスのしやすさも確認しておいた方がよいと思います。

後は、伝え方が難しいのですが「理屈なしに愛着を持てる場所」がいいのかなと感じています。何かしら縁を感じる場所、または心から住みたいと思える場所を選んでほしいですね。

ーーなるほど。ちなみに、若旅さんが移住前に参考にしたサイトであったりサービスであったりは何かありますか?
一番参考にしたのはYouTubeです。七飯町や函館に関する動画をたくさんチェックしました。北海道ならではですが「野生動物に関わること」「雪に関わること」など、暮らしの注意点をたくさん知ることができました。後はやはり行政のHPですね。移住に関する支援制度といった情報も載っているので、チェックしておくと良い情報と出会えるかもしれません。可能であれば、電話や対面で移住に関して問い合わせてもよいかと思います。

ーーありがとうございます。最後に今後の展望や目標があれば教えてください。
仕事面でもプライベート面でもやりたいことはたくさんあるのですが、一番は「今の生活を維持すること」でしょうか。この場所で、少しでも長く楽しく家族で過ごせるように、エンジニアとして成長し続けていきたいと感じています。

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