E3コミュニティメンバーの皆さんはどんな思いでいま仕事をしているのか。今までの経歴や成功・失敗体験も含めてお話を伺っていきます。今回インタビューしたのは、フリーで働くサーバサイドエンジニアM・Yさん。数社経験して、将来的にエンジニアの待遇を上げる仕事がしたいとMさんは語ります。
ライター:平田提
コロナ禍でゲームに熱中、キャンプに興味
――プライベートなことをお聞きしますけど、最近ハマっていることはなんですか?
Mさん:最近はゲームばっかりですね。『スプラトゥーン』や『モンスターハンター』 をSwitchでやってます。
元々ゲームは大好きで。まず親がゲーム好きで、僕が産まれたときがちょうどスーパーファミコンの全盛期だったんですよ。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』や初代の『ポケモン』をずっと親がやっていて、そばで観るのが好きでした。
――そうだったんですね。将来はゲームをつくってみたい、とはならなかったんですか?
Mさん:それはなかったですね。ゲームはあくまでプレイするのが楽しい、って割り切ってました。それに美術とかが得意じゃなかったので、ゲームを作るイメージがなかったです。数学や理科が好きだったですし。
――数学はプログラミングと通じますよね。
Mさん:そうですね。プログラミングはパズルっぽいというか、理詰めで考えていけるのが面白いし向いているなと思います。
――ゲーム以外の趣味は?
Mさん:いろいろやってみたいなと思っていて、最近はキャンプをやりたいなとアイテムを集めたりしています。
――分かります。自然に触れたり、防災にも役だったり、コロナ禍になってキャンプ需要が高まるのはうなずけます。
Mさん:そうですよね。アニメの『ゆるキャン△』を観たりして。もともと火起こしとか、バーベキューで肉の面倒を見るのとかが好きなのでやってみたいんですよね。
東京にいるとあれもこれも欲しくなっちゃうので、一時期はカメラにはまっていたこともあります。
大学を退学後、上京しプログラマーを目指す
――Mさんはどちらのご出身なんですか?
Mさん:長崎です。長崎といっても、みなさんが想像するような坂の多い町ではなく、平坦な土地の出身なんですが。
――そうなんですね。上京されたのは?
Mさん:エンジニアの仕事に就いたのがきっかけです。
――そもそもなぜエンジニアになろうと?
Mさん:大学時代はサークル活動ばかりで、あまり真面目に勉強する学生ではなかったんです。専攻が化学だったんですが、自分的にはあまり将来が見えないな、と……。
それで親とも話し合って、大学を辞めることにしました。その頃、知り合いがSEになった話を聞いて興味を持つようになって。当時はRuby on Railsが流行っていたので、勉強をはじめました……難しさに心が折れたりしながら。
あるときプログラミングを無料で学べて就職もできるスクールの存在を知って「これはいい」と。それで東京に出るために、ベルトコンベアで半導体をつくる仕事などをしてお金をためていたんです。
――そうだったんですね。上京されるのに不安はなかったんですか?
Mさん:不安はあまりなかったですね。「とりあえずプログラミングの仕事なら東京に行くしかない」と思い込んでいたところがあります。計画なさすぎて、あんまり考えていなかったのもあるかもしれないんですけど(笑)。
上京後はスクールでプログラミングの勉強をして、そのまま就職しました。入社してからはAWSやAzureなどクラウドを業務に組み込むような仕事をしていました。
――その会社から転職されたのはどういう理由だったんですか?
Mさん:報酬の部分が大きいですね。エンジニアの年収って、日本は低すぎると思うんですよ。250~60万円からスタートする職場も多くて、僕の場合もずっとそこにい続けて昇給を目指すよりも、転職したほうが早いだろうなと。
フリーの裁量の大きさは魅力
――その職場ではどんなお仕事を?
Mさん:ユーザー数の多い自社サービスを運用するチームで、開発しやすいインフラ整備やバックエンドのバグ解消などをしていました。いわゆるSRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)のような仕事です。
――そのお仕事から、現在はフリーになられたんですよね。きっかけを教えてください。
Mさん:フリーになったのは去年(2020年)の5月です。会社員として働き続けてきて、独立は頭の片隅にずっとありました。飽き性というか、ずっと同じプロジェクトを続けるのがたぶん向いていなくて。新しい技術をどんどん吸収して試せる環境で働きたい、というのが動機でした。
――フリーになってみていかがですか?
Mさん:今は企業に常駐して働いていますが、2~3カ月単位で新しい案件に関われるのと、自分の裁量で技術選択ができるのが良いですね。
プログラミング言語やバックエンドの技術は日進月歩なので、日々勉強して仕事に取り入れられる環境は大事だと思います。
――お仕事ではプログラミング言語は何を使われているんですか?
Mさん:社会人1、2年はJavaを触っていましたが、いま一番使っているのはPythonですね。プライベートではGo言語を勉強しています。
エンジニアの待遇を上げたい
――将来的には何をやりたいですか?
Mさん:先程お話したような、エンジニアの待遇の改善です。独学で「学んできました」というより企業・社会的にもエンジニアの報酬を上げたくなるような、体系的なノウハウや道筋をつける教育ができないかと。
「ここ出身の人だったこれぐらい報酬払ってもいいよね」と思えるような、社会人や子供向けの塾みたいなものが作られたらいいなと考えています。
――それはいいですね。一般的にいえるかは分かりませんが、企業によってはビジネスサイドにエンジニアを評価する仕組みがないのはあるかもしれませんね。
Mさん:現場にもよるとは思いますが、実際にコードを書くエンジニア・プログラマーよりSEやプロジェクトマネージャー、それ以外の役職のほうが給料が高い現状が一部ではあります。そういう状況を変えたいです。
――デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』で「ブルシットジョブ」という言葉が浸透しつつありますけど、まさにそれですね。
Mさん:いまの日本企業の成長の方法は、まだ高度経済成長期のやり方を踏襲しているところもあると思うんです。SIerや孫請け、ひ孫請けの受発注の在り方だったり。自社サービスをバンって出して成長した会社が日本って少ない気がするんです。自分で思いついたからサービス化して成長させてやろうという。そういう会社が増えていったら、そこで働きたいエンジニアも自然と増えると思うんですよね。そういう仕事に関われたらいいな、と考えています。