キャリアがわからないエンジニアに寄り添うエンジニアコミュニティ「E3」とは?

on 2023.04.26
キャリアがわからないエンジニアに寄り添うエンジニアコミュニティ「E3」とは?

エンジニアとして働いているけれど、今後のキャリアをどう考えればいいか分からない。エンジニアのコミュニティ「E3」を運営するE3代表の大津良さんに、これまで多くのエンジニアの方のキャリアのお手伝いをした経験からアドバイスを伺ってみました。キャリアに悩むエンジニアがやるべきことやエンジニアの採用市場の動向も紹介します。

■大津良のプロフィール

合同会社E3代表。フリーランスITエンジニアの採用を支援する企業に10年間務めた後、退職し2018年にE3を設立。ITエンジニアが自己実現するための「まなび」と「つながり」を提供するコミュニティプラットフォームを運営。エンジニアのキャリアプランニングやつながり作りと並行し、企業が求める人材とのマッチングの他、スカウト代行やMeetup等イベント開催を通じて企業のエンジニア採用支援も行っている。


■コミュニティプラットフォームE3とは?

ーーまずは、E3を設立しようと思ったきっかけについて教えてください。

会社員時代に抱いていた違和感がきっかけです。それは「自分たちがやっていることは本当にエンジニアや企業のためになっているのだろうか?」という違和感です。起業した今も、エンジニアと企業のマッチングを続けていますが、会社員時代は、エンジニア自身の気持ちよりも成約数や利益を優先してしまうことがありました。もちろんビジネスとしてやっている以上、売上や利益を上げなければ成り立ちませんので重要なのですが、よりエンジニアや企業に寄り添ったサポートを目指したいという想いが強くなり起業しました。

ーー現在「E3」はどのような活動をされているのでしょうか?

ITエンジニア一人ひとりの価値観に基づいて、それぞれの「なりたいエンジニア像」を実現するためのサービスを提供しています。主なサービスとしては以下の2つがあります。

1.Community Platform
理想的な働き方の実現、情報交換によるスキルアップなどを促進するためのエンジニアコミュニティを主催しています。「エンジニアのスキルや経験、希望に応じて最適な案件・企業を紹介するサポート」「メンバー限定サービスとして税理士への無料相談、インタラクティブなセミナー開催、コワーキングスペースの提供」「Slackグループやランチ会、ミートアップを通したエンジニア同士および企業との交流界の開催」などのサービスを提供しています。

2.Engineer Recruitment Support
Engineer Recruitment Supportは、エンジニアを採用したい企業向けのサービスです。企業・エンジニア両側への綿密なヒアリングを基に精度の高いマッチングを実現する「マッチング事業」。エンジニア採用における戦略立案や、面接代行、スカウト代行など、エンジニアの採用経験がない、または少ない企業を支援する「採用支援事業」の2つのサービスを提供しています。

このように「E3コミュニティ」を軸として、エンジニアのキャリア構築サポートや企業のエンジニア採用に向き合い、両面をサポートする活動をおこなっています。

■キャリアに悩むエンジニア。今やるべきこととは?

ーーE3コミュニティには、今後のキャリアについて悩みを抱えている方も多いかと思うのですが、実際に寄せられる悩みとしてはどのようなものが多いのでしょう?

なりたい姿が明確な人もいますが、どちらかというと「これから何を目指していいかぼんやりしている」方が多いですね。IT市場の動向や採用市場で求められるエンジニアの特徴・傾向など、自分のキャリアを明確にするための情報を求めて相談にくる方が多いです。

ーーそういった漠然とした悩みを抱えたエンジニアにどのようなお話をされるのでしょうか?

私から一方的に情報提供するというよりは、ヒアリングを通して思考整理のお手伝いをします。基本的には以下のような流れで「なりたい姿」を明確にしていきます。

1.なぜキャリアに悩むのかをひもとく
「環境を変えたい」「フリーランスになりたい」「転職をしたい」といった希望がある場合、そう思ったのはなぜなのかを掘り下げていきます。「現状の仕事への不安や悩み、自身が感じている課題」などを整理して、本人が理解できるようにサポートします。

2.本当に求めていることを明確にする
「現状の仕事への不安や悩み、自身が感じている課題」などを整理すると、「なりたい姿」の解像度が高まります。どういう働き方や状態がその人にとって理想的なのか?を掘り下げて、自己理解をしてもらえるようにします。

3.自分の軸を作る
「なりたい姿」を基にエンジニアとしての軸、つまり転職や仕事選びの判断基準を作ります。そして、この判断基準を基に「フリーランスになるべきか、どういう会社に転職すべきか、もしくは転職・退職せずに解決できるのか」を一緒に考えて、優先順位をつけていきます。

ーー今まで実際に上のようなフローでヒアリングされて、どんな相談結果になったのか実例で教えていただけないでしょうか?

例えば、フリーランスになりたいエンジニアの方は「現職での報酬に不満がある」パターンが多いです。「フリーになれば報酬が増える」と考える方は多いですが、転職で年収をアップする方法もあります。また、短期的にはフリーランスになれば報酬を上げられるかもしれませんが、組織内で得られる機会を失ってしまう可能性もあります。フリーランスではなかなか得づらいプロジェクトマネジメント経験を積むことで、より良い条件で転職できる場合がありますし、現職での働き方によって希望年収を得られることも少なくありません。現状の不満や課題を踏まえて、長期的な視野で一人ひとりの「なりたい姿」を実現するためのアドバイスを行っています。

ーー雇用形態に関わらず、エンジニアとして成功するためには、やはり組織内での経験は重要なのでしょうか?

そうですね。最近の傾向として多くの若いエンジニアの方が、キャリアの最初からフリーランスを目指そうとされています。ただ、どれだけ突出した個人スキルを持っていても、組織内での経験が不足していると意外と上手くいかないものです。フリーランスとして業務委託でプロジェクトに参加する場合でも、仕事の全体像や自身が携わるプロダクトにどんな人たちが関わっているのか素早く理解することが重要。それにスムーズなコミュニケーションが求められるので、人によりますが最低でも3年くらいは組織の一員として働き、それからフリーランスとして仕事を選んでいくことを検討するのがいいと思います。


■どんなエンジニアが求められるのか?2023年IT業界のトレンド

ーー市場価値が高い、または企業に求められるのはどのようなエンジニアなのでしょうか?

一定以上の経験やスキルを持つエンジニアのニーズは非常に高くなっており、倍率は最近の例でいうとおよそ9倍になるケースも多いです。エンジニア1人に9社が集まるような状態で、転職を検討しているエンジニアにとっては有利な状態といえるでしょう。各企業とお話をする中で特にニーズが高いのがWeb系のフロントエンドエンジニアです。React・Next.js・TypeScriptなどを使いこなせるエンジニアはまだまだ少なく、多くの企業が求めています。

ーーフロントエンド以外はどうでしょうか?

フロントエンドに劣らず、バックエンドも相変わらずニーズが高いと思います。ただバックエンドは専門性の高い方が多いので、やや競争率が高い印象です。AWSやGCPといったクラウドサービスを使いこなし、APIの開発経験が必須だと思います。また複数の言語をサービスの特性に合わせて使いこなせるだけでなく、インフラにも強いなどより広い領域の経験が求められるケースも増えています。ポストは多いものの、一定以上のスキルや経験がないとフリーランスとして活動したり、魅力的な会社への転職に成功したりするのが少し難しいかもしれません。

■エンジニアの人生に寄り添うサポートを。E3コミュニティならではの強みは?

ーーE3コミュニティは、例えば税理士への無料相談など、キャリアサポートにとどまらないサービスを提供しています。その理由やエンジニアの採用支援やキャリアサポートをする上で大津さんが重視しているポイントを教えてください。

理想の仕事や働き方だけではなくて「理想的な人生」を実現するサポートを重視しています。「理想の人生」から考えて、それを実現するための仕事や働き方を提案するように心がけています。「いずれは地元に帰りたい」「地方への移住を検討している」など、その人が人生で実現したいことを総合的にヒアリングします。そこから例えば地方からでもフルリモートで働ける東京の企業を紹介するなど、なりたい姿の実現に必要な選択肢を提案・提供するようにしています。

ーーなるほど。E3コミュニティは、仕事だけでなく理想の人生を実現するためのアドバイスやサポートを受けられる場なのですね。

はい。例えば「〇〇に強いエンジニアになりたい」「企業のCTOとして活躍したい」といった希望を聞くことが多いのですが、それがその人にとっての本当の幸せなのか?を深く考えてもらうようにしています。このようなアドバイスは、本人の行動にブレーキをかける場合もありますが、後でやっぱり違ったかもと後悔してしまうのを避けるためにも大切です。

本人が抱える悩みや理想の本質を理解してアドバイスをすることで、「フリーランスを目指していたけど、現職でも自分の理想が叶えられることに気づいた」「当初想定していた転職先は自分の理想とは違うと分かった」など、キャリアプランが大幅に変わることも珍しくありません。どんな道を選んでも結果的に理想に近づけるような、アドバイスやサービスの提供を心がけています。

ーー本日はありがとうございました。最後に今後の目標を教えてください。

現在、E3コミュニティのメンバーを中心に、ITエンジニアのキャリア支援に力を入れています。これまでは、自分の経験やノウハウを基にアドバイスをしていたのですが、それを独自メソッドとして体系化することが直近の大きな目標です。
興味を持たれた方はぜひお気軽に以下のボタンからでもご相談いただければと思います。

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