E3コミュニティメンバーの皆さんはどんな思いで仕事をしているのか。今までの経歴や成功・失敗体験も含めてお話を伺っていきます。今回インタビューしたのはフリーランスのエンジニアとして働くI.Iさん(E3 meetup Vol.7で登壇実績あり)。しっかりとした人生設計の裏には、エンジニアとしてのプロジェクト管理の考え方が活かされていました。
ライター:平田提
外資コンサルA社→フリーランス。独立の経緯と現在の仕事について
――Iさんは今フリーランスで活動されているんですか?
Iさん:フリーランスではあるのですが、いま仕事している某大手通信会社がフリーとして現場に入るのが難しく、派遣契約の会社を通して仕事をしています。
派遣社員扱いなので健康保険もあります。
――E3にはどういう経緯で参加されたんですか?
Iさん:大津さんとは、E3を立ち上げる前に勤められていた会社に登録しに行った際、知り合いました。結局そこで仕事はしませんでしたが、「今の仲介業者って駄目だよね」などと話が盛り上がり、個人的に連絡先を交換しました。「大津さんが独立する時は一緒にお仕事させてくださいよ」とお話していました。
その後、初めて大津さんを絡めて契約することになったのは去年の1、2月ですかね。ブロックチェーン関連の企業で、週2日ぐらいで契約をしていました。
――ブロックチェーンの関連のお仕事だと、プログラミング言語は何を使われるのですか?
Iさん:一番多いのがGoですね。Go言語をベースとし、各ブロックチェーンごとに少しカスタマイズした言語が多いです。
――今までもGo言語を使った仕事が多かったんですか?
Iさん:僕自身はGoを組んだことはありません。同じチームに東大のゼミでブロックチェーンの研究をされていた詳しい方がいて、その人に教えてもらいながら携わっています。
――フリーになられる前はどういったお仕事をされていたんですか?
Iさん:フリーになる直前は、A社という外資コンサル会社に5~6年勤めていました。
――大手ですね。A社ではどういったお仕事をされていたんですか?
Iさん:まず、いわゆるコンサルタントと呼ばれる人たちが、企業の課題を見つけ解決するためにIT技術の導入を決めてきます。そこから具体的にシステムをソリューション化していくのが私の仕事でした。最終的には海外のエンジニアさんと組んだり、ベンダーコントロールをします。
PM、SEの両方をやっていた感じで、上流設計くらいまでやっていました。
人生設計はプロジェクト管理。50歳から好きに働くため、今稼ぐ
――フリーになったきっかけは何ですか?
Iさん:3つあります。
1つ目は、A社という会社が、独立して会社を興すか、フリーになるか、そういう志向の人間の集まりだったということです。自分一人か、仲の良い人と一緒に何か起業したいということは常に頭にありました。
2つ目は、A社の時は自分でつくることをやっていなかったので、やっぱりつくりたいという気持ちが結構大きくて。つくる仕事をフリーランスでやっていけたらいいなという気持ちがありました。
3つ目は、単純にお金の問題です。以前から、50歳からは前のめりで働かない人生プランを考えていました。独立したのは32、3歳の頃なんですが、がっつり稼ぐなら30・40代で独立したほうが良い計算していたんです。
――ぶっちゃけた話……独立してからの方が収入が良くなっていますか?
Iさん:単純な収入でいうと、会社員時代の2倍近くあります。そこから税金や会社が支払ってくれていた保険料などを加味すると、1.5倍くらいだと思います。
――素晴らしいですね。ちなみにお仕事はどのように獲ってこられたのですか?
Iさん:A社の前はSIerでエンジニア、プログラマーとして働いていたので、その両方からの人脈です。
A社の最後の方はお試しフリー期間を設けて、そこできちんとやっていけるかテストをし、結果無事に辞めました。
――とても計画的ですね。いつから思い描いていたのですか?
Iさん:A社の3年目くらいにはもう、あと2、3年で独立すると考えて、そのために人脈を作っていました。周りに独立する人が多いので、失敗例を仕入れたり。
――50歳以降はあまり働かずにいたい、とイメージした理由はありますか?
Iさん:若い頃にIT系で働いていると、ハードワークはつきものです。これを50歳になっても続けることは出来ないと思いました。
僕は死ぬまでの人生における大体のイベントの支出をスプレッドシートでまとめて資産計画を組んでいます。これを作っているときに、50歳以降も同じ給料が出るという前提でいるのは危ないと思ったんですよね。
――私も昔そういう人生計画を立てたことがあるのですが、全くその通りになっていないですね(笑)。
Iさん:細かく予想していくのは難しいですよね(笑)。子供が生まれたら生活は変わりますしね。私は子供が3人いるのですが、1人目が1歳になるまでが一番大変でした。それ以降は全員女の子というのもあるのか、上の子が子育てでも戦力になってくれるので段々楽になっています。
50歳以降の仕事量を減らすという目標は変えずに、「子供が増えたとしたら、収入を増やすにはどうすればいいか」など、計画のアップデートは常にしています。
――素晴らしいですね。すべてご自身の考えで進めているのですか?
Iさん:はい。本業のプロジェクト計画と似ていると思います。予算管理をして。
――エンジニアの方とお話をしていると、仕事のスキルを生活に活かしている方が多いと感じます。50歳以降にやりたいことはありますか?
岩尾さん:今は収入が第一優先になっていますが、50歳以降は優先度が下がるということになります。収入が下がったとしても、一番楽しいと思えることをやっていきたいです。例えば、NGO、NPOのような、社会貢献系に興味があります。
――社会貢献というと、今興味があるのはどの分野ですか?
Iさん:ブロックチェーン絡みですね。例えば、今回のアメリカ大統領選挙で不正の話題がありましたけれど、ブロックチェーンでなんとかできないか、とか。
あとは、生活保護費の不正受給なども、ブロックチェーンで全ての使い道を管理できていれば起きなくなるかもしれない、とか。
社会的な課題に対して技術で解決できるアイデアを提供して、お金が出なくてもやります、という風にできないかなと考えています。
――アーリーリタイアの考え方とは全然違いますね。働くけれど、収入の面は今とは違うということですね。
Iさん:そうですね。働くという言葉には該当しなくなるような気がしています。お金のためではなく、自分でやりたいことをやっているだけ、という状況かな。お金や生活の部分は全く度外視です。そういう生活ができるのが今から楽しみで仕方がないですね。
だから子供たちにはいち早く独立して欲しい。それがモチベーションになっています。早く手が離れて欲しい、全員が早く嫁に行って欲しい(笑)。
既に世界はSF映画のようになっている。日本にデジタルツインの価値観を広めたい
――直近の仕事や技術の中で、今後やってみたいことはありますか?
Iさん:キーワード的には「デジタルツイン」……ツインとは「双子」という意味で、デジタルの世界にリアル空間を表現することです。
例えば、最近はすごく高額な、1000万円くらいするすごいカメラが出てきました。建物の中から撮影するとそのまま3Dデータがつくられる。
アメリカでは警察が事故や事件の現場を保存したり、保険会社が事故の支払いを調査するために使われています。
今はそういった海外の技術を日本で早く浸透させる仕事を進めています。
そういうノウハウや、日本に新しいものを導入するスキルを学びたいと思っています。
――もはやSF映画みたいですね。
Iさん:そうなんです。その技術が既にあるんです。渋谷のとある地域をカメラで撮ったデータがあるのですが、マンションを建てたときの各部屋の眺望がほぼ100%再現できます。
そうすると実際に建てたら日当たりが悪かった、ということが無くなり、販売するときに役立ちます。アイデア次第で出来ることがたくさんあります。
こういう新しい技術や価値観を広めていきたいです。