転職に悩むエンジニアの方に向け、E3に所属するエンジニアの皆さんにお話を伺いました。今回はQA・テストエンジニアとしてご活躍中の阿部将太郎さんにインタビュー。これまでの経歴や転職のきっかけ、QA・テストエンジニアに必要な要素もお話いただきました。
ライター:荒井啓仁
就活を機にエンジニア職へ。新卒で炎上案件のリーダーに
ーー学生時代からエンジニアを志していたのでしょうか?
いえ、学生時代は国際地域学を専攻していました。「地域の課題を解決するための方法」にアプローチする学問です。その中でまちづくりと災害復興に関することを中心に学んでいました。
ーーなぜ地域振興などを学ぼうと思われたのでしょうか。
出身が岩手県なのですが、東日本大震災の後の大学進学だったため、地域に貢献できたらと思い災害復興を勉強したいと思っていました。
ーーエンジニアを志したきっかけをお伺いさせてください。
もともとエンジニア志向は無かったのですが、就職活動の中で「テストエンジニア」という職がある事を知りました。新しいデバイスに触れるのが好きだったこともあり「ひょっとしたら好きな仕事かも」と思い、この職種への就職を決めました。
ーー新卒ではどういった会社で働かれたのでしょうか?
ソフトウェアの開発と第三者検証を行うN社です。入社後は検証事業部に配属され、車載器の検証を行っていました。
ーーはじめはどういったお仕事をされましたか?
最初から大規模炎上しているような案件に配属されまして……。新卒で入社したものの、ニアショア拠点で発生しているトラブルを解決する、支援するチームのリーダーを任されました。
ーー新卒でいきなりリーダー、しかも炎上案件とは……。
今思えば「よくやったな」と思います(笑)。
ーー今だから思える成長した部分はありますか?
炎上案件の中で、チームを管理するポジションに居られたのは良い経験だったと思います。炎上案件に対してどう周りを巻き込んで立ち回るかを学べました。チーム、お客さん、外部の会社さんなど……と信頼を作って巻き込んで進むメンタリティは今も活きています。あそこでの経験がなければ今の自分は無いと思います。
体調を崩し退職。1社目の紹介で2社目に入社
ーー最初の転職はどういったきっかけでされたのでしょうか?
N社は時間外労働がかさんだ影響で体調を崩してしまい、2017年3月に退職しました。
ーーそれは大変でしたね……。
メンタルとフィジカル両方やられてしまい、現場で倒れてしまったんですよね……。2016年の11月に倒れて、復職も考えたのですが療養が最優先だと思い退職に至りました。
ーーなるほど……。ご実家に戻られたりしたのでしょうか?
そうですね。岩手に一度戻り、休養をとってから2社目のV社に転職しました。
ーーV社に就職したきっかけは何かありますか?
N社目を辞めるときに岩手に戻る旨を社長に伝えていたのですが、「地元でもテストエンジニアできる会社がある」と教えて頂いたのがV社です。
ーーなるほど。V社ではどういったお仕事をされていたのでしょうか?
主にテストの実施や設計を行っていました。テスト実施とテストケース作成、小規模ではありますが、チームのマネジメントも行っていました。東京に本社があったので、そことの連携も含めて、メンバーからリーダーまで幅広くやらせてもらいました。
3社目はSESに入社。タイミングよくQAの仕事が!
ーー 3社目についてもお伺いしてもよろしいでしょうか?
3社目はSES会社のE社に入りました。
ーー転職のきっかけもお聞かせください。
V社では非正規雇用だったこともあり、待遇の改善のためにテストだけではなく開発のことも経験しようと思ったことがきっかけです。
ーーE社を選んだ理由は他にもありますか?
未経験から開発エンジニアとして入社出来る利点がありました。最初は開発などをやる予定だったのですが、入社直前に「テストできる人が必要になった」と、ソフトウェアテスト案件を紹介してもらい、そのままテストエンジニアを続けることができました。
ーー渡りに船ですね! E社ではどういったお仕事をされていたのでしょうか?
本当にラッキーだったと思います。仕事としては従来通りソフトウェアのテストに係ることでした。Webサイト開発プロジェクトの中でのテストチーム構築や、電子カルテのQA業務を主に行っていたのですが、特に電子カルテは特殊なソフトウェアだったことと、我流のテストを続けられているクライアントだったこともあり、テストの方法論などを持ち込んで改善活動もすこしずつ行っていました。
事業本部長と意気投合し転職を決定!
ーー現在の仕事内容を教えてください。
2021年の9月に株式会社クアーズへ入社しましたが、2022年の2月にポールトゥウィン株式会社に吸収合併されたので、正確には現在5社目ですね。
QAエンジニア、スペシャリストという立場でテストチーム立ち上げや、テストプランの策定、テスト設計、技術的なフォロー、チームのマネジメントも行っています。
ーー現在はマネジメントが中心でしょうか?
マネジメントもしつつ、手も動かしつつですね。自分でテスト工数見積〜テスト設計〜実施をしつつ、お客さまとの折衝やメンバーのアサイン検討も行っています。
ーー転職のきっかけは何でしょうか?
当時の所属会社ではソフトウェアテストを専門にしていた人物が私だけでしたので、社長から「阿部くんは、どうせテストしか出来ないんでしょう」と言われるなど、理解されにくかったという事情もありました。
ーー酷い扱いですね……。
30歳くらいには東京に戻ろうとカジュアル面談をいくつか受けていて、一番マッチしたのがクアーズだったので転職を決めました。
ーークアーズへの転職を決めた一番の理由は何でしょうか?
当時の事業本部長と話がものすごく盛り上がりまして(笑)。マインドが合う会社というのも大きいですが、自分がやりたいようにができる、小回りのきく会社だというのが決め手ですね。
実際、特にやり方に縛られることもなく「この部分のテストもしたほうが良いかもしれません」「逆にこの部分は削ったほうが無駄なテストを行わずに済み、他の部分のテストに注力できます」といったことをお客さまに提案するなど、自由にテスト活動ができたように思います。
ーーテストエンジニアは具体的にどういったお仕事をされるのでしょうか?
ソフトウェアのテスト計画~改善提案などを行う職種です。
要件や仕様の通りにソフトウェアが動作するか、不具合や問題がないかを見つけるお仕事です。
人や案件によっては、要件定義の段階から関わる場合もあります。
ーー要件定義の段階から関わることもあるんですね。
要件定義の段階で考えられる問題やリスクを指摘する、というのも仕事のひとつですね。
ーーかなり広範囲の知識が無いと務まらないような。
そうですね。かつては新人に「やっといて」と丸投げする会社もあったと思いますが、かなり重要で専門性の高いポジションだと思っています。ドメインや業務内容以外にもトレンドにも敏感である必要もあるので、かなり広い知識が必要です。
ーーテストエンジニアに向いていると思う適性やポイントはありますか?
「これってどう?」「これって使いづらい?」など、少しでも違和感に気付ける人はかなり向いていると思います。
ーー今後の目標についてもお伺いさせてください。
メンバーの育成に関わってみたいですね。社内全体といかずとも、まとまった人数のスキルとかマインドを伸ばしていけたらと思います。
口だけではなく、一緒に仕事をする中で同じ目線で成功や失敗を経験しながら育ってもらうのが理想です。
長期の目標でいえば、できる限り品質保証の分野で仕事をやり続けたいです。テストの自動化も進んでいるので数年後には世界が変わるかもしれませんが、この職種自体はこれからも変わらず必要だと思います。その場に応じたQA活動ができる人であり続ける、というのは今後も心がけたいです。
・今の就業形態:リモート中心
・現在の仕事:QAエンジニア
・得意分野:テストプラン策定、テスト設計
・使用言語・スキル:ソフトウェアテストスキル
・仕事で大事にすること:他者へのリスペクト
・今後やってみたいこと:ほどよい田舎に済み、小さな畑を持って野菜をつくる。