学生のうちからIT業界の経験を。新しい流れを模索するフルスタックエンジニア

on 2023.03.31
学生のうちからIT業界の経験を。新しい流れを模索するフルスタックエンジニア

転職や独立に悩むエンジニアの方へ向け、E3に参加しているエンジニアの皆さんにお話を伺いました。今回はフリーランスのフルスタックエンジニアとして活躍中のK.Hさんにインタビュー。これまでの経歴や独立のきっかけなどもお話いただきました。

ライター:荒井啓仁

ITブームを受け大学へ入学

ーー大学ではIT、メディア系の学部へ入学されたんですね。この進路をを決めた理由は?

当時はビル・ゲイツが世間に出てきて、パソコンが一家に1台という時代に切り替わる時期でした。高校時代に進路は時代に沿ったものが良いと思い、メディア系の学部へ進みました。

ーーもともとITには興味があったのでしょうか?

理系志望ではありましたが、分野までは絞っていませんでした。子供の頃からファミコンで遊んでいましたし、すでにパソコンに触っていた友人の話を聞いてパソコン自体に興味はありました。理系で4年間学ぶならITやメディア、PCに関することがいいなと。

SIerに就職。入社3カ月で炎上案件に……。

ーー就職の際、エンジニア以外の選択肢はありましたか?

進路を考える際、PCスキルを生かした上で他の仕事に就くか、このままどっぷりPCに関わる仕事をするかの2択で悩みました。考えをまとめるうちに、PCから離れるつもりは無く、ものづくりとしての面白さも感じていたのでエンジニアの求人を受けました。

ーー1社目を選んだきっかけは何でしょうか?

100人ほどの小さい規模のSIerの会社でしたが、プレイングマネージャー的な社長に惹かれて入りました。

ーー趣味と仕事の違いは感じましたか?

趣味で作るのとは全く話が違うと思いました。学生の頃のプログラミングは、やりたいことを重ねる加点法でしたが、仕事としてのプログラミングは減点法だと。バグが無くて納期に遅れないという、要求に対して問題のないものが求められるのだと強く感じました。

ーー最初の会社ではどういった知識やスキルを身に着けましたか?

JavaとHTML、JSD言語、サーバー構築の基本を学ばせてもらいました。必要なものを調べて身につけるというよりは、体系的な知識を得られますね。

ーー印象に残っている案件はありますか?

入社して3カ月のときに参加した炎上案件ですね。当時は持ち帰りの受託開発だったのですが、「ちょっと見に来てほしい」と頼まれ客先で緊急対応をしたらそのまま常駐することになり……。炎上が終わったあとも保守運用で残ることになり、退職までそのプロジェクトにいました。

ーーなるほど。

追加機能のエンハンスが多かったので新鮮な経験が積めました。出向先が大手SIerということもあり、大手の手堅いモノづくりを経験できたのも貴重な財産です。

友人のベンチャー企業に参画。視野を広げるきっかけになった

ーー最初の転職についてもお伺いさせてください。

友人がベンチャーを起業したのですが、立ち上げたばかりだったので、業務の意思決定に関われるのは魅力的だと思い出資しつつ参画しました。

ーー1社目に不満などはありましたか?

1社目に不満は無く、後ろ髪を引かれる思いでした。

ーーもともと起業や独立には興味があったのでしょうか?

起業に対する思いはずっとあり、一生サラリーマンとして勤める気は就職当初からありませんでした。自分の仕事のタイミングとも合致していたので、チャンスだと思い勝負に出た次第です。

ーー素晴らしいですね。今でも活きている経験はありますか?

視野を広げる必要性を学べたのは大きいです。会社に属する1人だったときは、自分の目の前の仕事にだけ集中できました。しかし、会社全体としての大目標に向かう中に、自分の作業がある。ベンチャーでの経験のおかげで、全体の大きな流れの中で今やっている作業がどのような位置なのか、何のためにやっているのか、という視野は今でも生きていると思います。ただ、必ずしも視野が広いことが優れているわけではなく集中したほうが専門性が伸びることもあるので、一長一短だと思います。

エンジニア歴4年で独立!

ーー独立のタイミングを教えて下さい。

2社目の後に独立しました。プロジェクトが終わったタイミングで会社が解散となり……。

ーーやはり多くの現場を経験されたのでしょうか?

独立してから15年近く、現在までで7案件ほどでしょうか。一般的にフリーランスの方は渡り鳥というか、期間の短い案件をいくつも渡り歩く方が多いかもしれません。自分は保守の案件が多く、1つの現場が長いんです。今の現場も今年で7年目になります。

ーーそれは長いですね! どういったポジションが多いですか?

決まった肩書きは無いのですが、あえていうならフルスタックでしょうか?  場合によってはデータベーススペシャリストであったり、リーダーやマネージャーなどさまざまです。

ーー自ら作業をやるというよりは、舵を切るような仕事が多いというか。

緊急性が高いものに関しては、お客さんの要望に合わせて手を動かすこともあります。

ーーお仕事をする上で気をつけていることはありますか?

次を見越した上で何を作るかヒアリングを重ね、システムとしては何ができるかを具体的に提案することを心がけています。目的達成の数カ月だけスポットで入るのではなく、御用聞きのような(笑)。

ーーなるほど(笑)。フリーランスとしての醍醐味は何でしょうか?

意思決定が自分にある点、自分で考えたことに責任を持ってアウトプットしていく点だと思います。

ーーフリーランスの大変な部分もお聞かせください。

指摘してくれる人がいない、ベンチマークとして追いかける背中が無いのは難しい部分だと思います。

ーー独立を考えている方へのアドバイスもお願いします。

若いうちは失敗しても戻れますから、遅いか早いかでいうと、早いほうが良いと思います。

いつか1人でやってみたい、という気持ちがあるのであれば今すぐにでも独立した方がいいかもしれません。

ただ、「職場で嫌な思いをした」などの短絡的な感情論で独立を進めている場合は思いとどまってほしいです。自身のスキルによっては仕事が思うように入って来ないなど、独立にはリスクもあるので。

アルバイトからIT業界で経験を積んでもらいたい

ーー直近での目標は何かありますか?

2年前に法人化したので、そろそろ人を雇って自分の責任の中でチームを組みたいです。現在の仕事が一段落して、タイミングが合えば人を迎え入れた上で規模の大きい案件を引き受けたいですね。

ーー長期での目標もお伺いさせてください。

学生にアルバイトとして学生時代からシステム開発に参画してもらえるような働き方を作りたいです。

サービス業などでは学生時代のアルバイトから就職する、というのはよくありますよね。学生時代にシステム製作に関わった上で社会に出れば、学生時代に学ぶ意味も生まれてくるのでは無いかと思います。違う業種に行ってもプログラムに苦手意識を持たずに、責任を持って論理的思考ができるようになって欲しい。ゆくゆくは若い方のITスキルが向上することで、日本のITスキルが底上げされるような流れを作りたいですね。

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・今の就業形態:フルリモート

・現在の仕事:アプリケーションの保守運用およびエンハンス開発、データ分析基盤運用

・得意分野:長期でのシステム運用開発

・使用言語・スキル:AWS全般、アプリケーション開発、データ分析、資料作成

・仕事で大事にすること:否定しないで話は聞く。言い出しにくい雰囲気を作らない。遠慮しないで自分から言う。

・今後やってみたいこと:学生さんが仕事としてシステム開発に関わる機会の創出

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