元・超ひも理論研究者、現在はiOSアプリ、フロント・バックエンドエンジニア

on 2022.05.25
元・超ひも理論研究者、現在はiOSアプリ、フロント・バックエンドエンジニア

E3コミュニティーのエンジニアの皆さんへのインタビュー。今回はiOSアプリの開発をされている片桐奏羽さんにお話を伺いました。研究職からエンジニアに転身されたお話や、今後やってみたいAI開発についてもお話いただいています。

ライター:荒井啓仁  編集:株式会社TOGL

iOSアプリ開発を中心にフロントエンドやバックエンドを担当

ーー現在のお仕事についてお伺いさせてください。

フリーでエンジニアをしています。フリーになって4〜5年ほどで、エンジニアとしてはiOSアプリの開発がほとんどです。iOS以外では去年からWebのフロントエンドもやらせていただいており、今年の4月からはバックエンドの案件も引き受けています。

ーーアプリはいつ頃から作られているのでしょうか

2011年にはiOSアプリを作っていました。新卒で就職したのが2006年辺りで、当時はガラケー時代でワンセグとかを触っていましたね。ガラケーからiPhoneに切り替わり、アプリ開発が流行ったので仕事に恵まれました

ーーアプリ開発に着手したきっかけは何でしょうか?

新卒で就職した後、一度エンジニア職から離れたことがありまして、復帰した際「これを仕事にしたい」と強く感じたのがアプリ開発でした。自分でアプリを開発して、ポートフォリオも用意して半年以上就活したのですが、どこにも雇ってもらえず……。兄が営業職をしていて、案件を取ってきてくれました。一度は就職できたのですがそこからが大変でした。初めてのアプリ開発現場で、炎上も経験して。ただ開発実績ができたので、再就職に繋がりました。

ーー大変でしたね。

ガラケー時代はApp Storeのような市場が無く、今みたいに素人でも開発・販売できる開かれた環境ではなかったので、突然環境が変わり苦労しました。

ーーなるほど。現在の使用言語についてお伺いさせてください。

使用歴が長いのはObject-CとSwiftです。typescript, Python、C++言語辺りも使えます。


超ひも理論研究を選んだ理由とは。ファミリーベーシックがプログラミング初体験

ーー 一度エンジニア職を離れた理由をお伺いさせてください。

在学時は研究者を志して大学院に6年在籍していたのですが、博士号が取れずに退学してしまいまして……。就職して3年位働いた際、もう一度研究に研究職に戻りました。

ーー何の研究をされていたのでしょうか?

超ひも理論の研究をしていました。今お話すると恥ずかしいのですが……、学生の頃にこの世界がなぜあるのか理解してみたくなったのがきっかけです。当時の幼い考えなりに物理学が正解に近いのではと思い、ホーキング博士の来日などに影響され超ひも理論の研究に進みました。

ーー面白いですね! 現在でも超ひも理論の研究はされているのでしょうか?

超ひも理論の研究はしていませんが、現在は物理学を広く研究しています。他の研究者ともやりとりして論文を書いており、本も出版してます。
(https://www.amazon.co.jp/%E6%95%B0%E7%90%86%E7%89%A9%E7%90%86%E7%A0%94%E7%A9%B61-%E6%95%B0%E7%90%86%E7%89%A9%E7%90%86%E5%87%BA%E7%89%88%E4%BC%9A/dp/4991119006


ーーすごいですね! プログラミングは学生時代から馴染みがあったのでしょうか?

プログラミングは大学よりもずっと前の10歳ころからやっていました。ファミリーベーシックという、ファミコン用のソフトとキーボード、プログラミング教本が一緒になった商品がありまして、それがパソコン初体験でした。
マウスが無くてキーボードだけで、英語もローマ字も知らない10歳当時は、Shiftキーの操作も知らずひたすらキーボードを打っていました(笑)。初めてファミコン上でマリオを動かした瞬間の感動は今でも忘れられませんね。

ーーその後もゲーム制作は続けられたのでしょうか?

当時はゲーム制作というよりも、遊ぶためにプログラミングしていたと思います。遊びたいけど買えなかったシムシティを真似したゲームや信長の野望のようなシミュレーションゲーム、シューティングゲームや格闘ゲームなど、自分で作れるゲームを作っていました。

ーーそれがモバイルでのゲーム制作に繋がったんですね。

そうですね。ガラケーで出したゲームは自分のゲーム制作の集大成のようなものだったので出せて良かったです。

絵の次は言葉。AIで詩を作れたら

ーーお仕事で今後やってみたいことをお伺いさせてください。

具体的に何を作るかは未だ模索中ですが、エンジニアとして胸を張れるような代表作を作りたいです。

ーーお仕事以外ではどうでしょうか?

すでに大勢の方がやっているので今から参入するのは難しいかなと思うのですが、AIなどのデータサイエンスにも興味があります。機械学習は統計や確率と似ていて、物理とも似ている点が多く自分にも馴染みがあるので、もっと知識をつけたいです。

ーーなるほど。物理学を学んでいた片桐さんならではですね。

人工知能学会に共同で論文を出したこともあるんです。色んな人が書いたものに少し口を出した程度ですが(笑)。

ーーすごいですね! 今後AIでやってみたいことは何かありますか?

AIに絵を描かせるのはすでにあるので、次は言葉かなと思っています。いろんな物事や、事実、記事を元に詩を作るアプリが作れたら良いですね。AIはストーリー性のあるものよりも、絵のような直感的なものの方が得意なので、人間の情感など言語化が難しい直感に依る物を作らせたら面白いことになるんじゃないかなと期待しています。


・今の就業形態:フリーランス
・現在の仕事:フロントエンド(react.js, typescript)、バックエンド(python)
・得意分野:Reactiveブログラミング、数理物理
・使用言語・typescript, python, swift, objective-c, c++,
・仕事で大事にすること:柔軟性と変化への対応
・今後やってみたいこと:数理物理の技術、ビジネスでの応用

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