E3コミュニティのエンジニアの皆さんへのインタビュー。
今回はフリーのエンジニアとして大手決済サービスのディレクションを担っているKさんです。エンジニアになりたての頃のエピソードや、サービスに対する想いを伺いました。
ライター:荒井啓仁インタビュー・編集:平田提(株式会社TOGL)
大手決済サービスのアプリ開発ディレクションを担当
――現在はどういったお仕事をされているんでしょうか?
クレジットカード決済など、実店舗で広く使っていただいている決済サービスのディレクションをしています。決済アプリの品質やデリバリーに責任を持つポジションですね。フリーランスとして参加しています。
――開発言語や使用しているデバイスをお伺いしてもよろしいでしょうか?
開発言語は非公開ですが、iOSアプリを提供しています。仕事ではMacを使っています。
――Macはプライベートでもよく使うのでしょうか?
はい、OS9の頃から使っていて今もMacが好きなので使っていますが、ほとんどのことはiPhoneやiPadで出来てしまうので最近は使う機会は減りましたね。
――意外ですね! プライベートではコードを書かれないのでしょうか?
滅多に書かないですね! 世の中に無いものであれば作るしかないので実際に作ることもありますが、ほとんどのものは既に世の中にあるので(笑)。
――現在はリモートワークでしょうか?
はい、フルリモートですね。
――リモートワークで良かった点、良くなかった点などありますか?
良かった点は、通勤する代わりに毎朝ゆっくりコーヒーを淹れられることですかね。ちょっとした空き時間に料理の仕込みができたり、非常に食生活が豊かになりました(笑)。仕事上がりには一日を振り返りながらぼーっと七輪で炭火をおこして、焼き鳥を焼いたりしてけっこう楽しんでます。
良くなかった点は特に無いと思ってますが、やはりコミュニケーションには今まで以上に気をつけるようになりました。どうしてもテキストベースでのやりとりが多くなるので、テキストの見え方は非常に重要になっていると思います。Slackで会話しているときも自分で書いたテキストの見え方、受け取られ方には今まで以上に気をつけています。
必須ツールはAttrasianの「confluence」
――お仕事をする上で無いと困るツールなどありますか?
Attrasianの
confluence
はほぼ毎日使っていて、無くてはならないツールですね。いわゆるナレッジデータベースですが、ドキュメントエディターとして圧倒的に使いやすくできているので、構造的に考えを掘り下げていく作業にはとても向いていると思います。
――課題を整理したり企画を立てるときに使用されるのでしょうか?
はい、例えば新しい機能の追加を検討している場合、「何が課題なのか?」「ユーザーが本当に求めているものは何か?」「競合他社はどのように対応しているのか?」「何割くらいのユーザーが救われるのか?」「失うものは無いのか?」「ROIは?」「などなど、あらゆる角度から検討に検討を重ねるのですが、そういった膨大な検討資料をツリー状に組み立てていきます。マトリックスを多用するのですが、表組みが一瞬で出来る点も良いですね。
エンジニアになったきっかけは一般事務のアルバイト?
――いつごろフリーランスになられたのでしょうか?
珍しいパターンだと思うのですが、今にして思うと最初からフリーでした。
20年以上前の話ですが、学生時代に一般事務のアルバイトに応募したら何故かエンジニアの適性検査を受けることになり、「今日から君はプログラマー!」と宣言されたのがデビューの瞬間です(笑)。
――ええっ! いきなりですね。そちらの現場ではどういった開発をされていたのでしょうか?
ほんとに小さい会社でしたが、VB.netを用いたホテル業務の基幹システムを丸っと開発していました。プログラムに触れるのは初めてで何を調べれば良いのかも分からないような状態だったのですが、入って即担当するプログラムを割り振られました(笑)。
――すごい過酷な現場ですね(笑)。ご自身で色々と工夫されたんでしょうか?
書籍を読み込んだり、Webで調べたりしてるうちに、なんとなく1カ月後くらいにはコードらしきものが書けるようになりました。今と比べると当時はブログなどの情報の集積も圧倒的に少なかったので、一から調べて理解するのは本当に大変でしたね。ちょっと痩せました(笑)。
その後3カ月くらい経って、バリバリコードが書けるようになった頃に社員が全員辞めるっていうまた衝撃的なイベントが起きて、その後は全て僕がコードを書くことになりました。基幹システムを作りきったので、2年間で20万行くらい書いたんじゃないですかね。
――壮絶ですね……過酷な状況でも続けられたのは、プログラミングが楽しくなったということですかね?
そうなんですよ、コードが書けるようになった頃のことは今でもよく覚えていて、動くものを作れるのは本当に楽しかったです。全部自分で書いているので当然システムの全てが理解できますし、かなり自由にやらせてくれてはいたので、プレッシャーよりも楽しさの方が多かったかなと思います。本当に貴重な体験でしたね。今でも当時の社長とは仲良くさせてもらってるんですよ。
「社会貢献」と「ビジネス」の両立、エンジニアとしての想い
――今後やってみたいことはありますか?
なぜ仕事をするのか、一日の大半をサービスのことを考えて過ごせるのか、ということを考えてみると、究極的には社会貢献がしたいんだと思うんです。人の役に立つものを今後もどんどん作っていきたい。そういう意味では、やはりサービスとして社会貢献とビジネスの両輪が揃っているサービスに関わっていきたいですね。社会に貢献しないサービスには存在価値がないですし、ビジネスの部分でしっかりしたプランが無いと存続していけないので、せっかく作ってもゴミになってしまうんです。
――そういう思いを抱いたきっかけはありますか?
過去にエンジニアとして携わらせて頂いた案件の中には、残念ながら続かなかったサービスや、酷い場合だとビジネスサイドの検討が不十分で世に出ることすら無かった案件もあります。作り手としてはこんなに不幸なことは無いですよね。多大な時間と情熱を傾けて作ったものですから、やはり末永く誰かの役に立つものであって欲しいんです。
――今後、業界や生活で関わりたいシーンはありますか?
課題を解決することがエンジニアの本懐だと思っているので、どんな業界でもいいと思っています。究極、そこにエンジニアリングが無くても良いと思ってるんですよ。先日神楽坂で、
近隣のパン屋さんで売れ残ってしまったパンを集めてリセールすることで食品廃棄を減らすっていう活動をしている人たちを見かけ
たのですが、素晴らしいですよね。見事に課題を解決していますし、関わるみんなが幸せになる設計のサービスです。こういった小さくても素晴らしい活動をしている人たちを見ると憧れますね!
――本日はありがとうございました!
・今の就業形態:業務委託(フリーランス)
・現在の仕事:大手決済サービスのディレクションを担当
・得意分野:アプリケーション開発の工程全て(課題設定〜開発〜デプロイ)
・使用言語・スキル:案件に応じて
・仕事で大事にすること:明確な目的に向かって仕事をすること、目的外のことをしないこと
・今後やってみたいこと:社会貢献を続ける。人の役に立つものを今後もどんどん作っていきたい