E3コミュニティーのエンジニアの皆さんへのインタビュー。今回はゲームやモバイルの開発、現在はサーバーサイドエンジニアとしても活躍されている川原英明さんにお話を伺いしました。小学生の頃から独学でプログラミングを学び、雑誌に投稿していたこともあるという川原さん。プログラマー業の傍ら、本の執筆業も行っているそうです!
ライター:荒井啓仁 編集:株式会社TOGL
現在はシステム移行業務が中心。ゲーム業界やモバイル業界も経験
ーー現在のお仕事についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
大手ITの子会社で開発支援をしています。役割としてはサーバーサイドやSREなどですね。現在は海外のアニメデータベースサイトのシステム移行や開発、運用までやっています。
ーー海外のサービスなんですね!
そうですね。海外のクライアントで利用者はアメリカやヨーロッパの方が中心ですが、経営は日本でやっていて、スタッフもほぼ日本人です。このサービスがOSや言語も2世代くらい古いものを使っているので、ここ最近は移行業務がメインになっていますね。
ーーファーストキャリアはゲーム開発とお伺いしましたが、どういった経緯で就職されたのでしょうか?
昔はプログラミングというとゲームが主流で、『マイコンBASICマガジン』(電波新聞社)という雑誌の紙面にプログラムが載っていたものです。それを手打ちで勉強して、自分でもゲームのコードを雑誌に投稿して……。その流れのままゲーム方面へ就職して、ゲーム開発の現場には10年ちょっといました。その後、一緒にゲームを作っていた同僚に誘われてiモード開発方面に進みました。
ーーゲーム開発からモバイルの開発に進まれる際、不安要素などはありました?
それは特に無かったですね。Web開発経験は無かったのですが、ゲーム会社時代に情シスを勉強がてらやらせていただいたのでデプロイ環境も知っていました。なので、あとは言語だけ勉強すればいけるだろう、と(笑)。Perlの習得もスムーズにできたんですが、データベースの概念だけは少し勉強しましたね。初期のiモードって4KByte超えるとエラーが出ちゃっていたんですよ。いかに小さくするかというノウハウはゲーム開発時代に培ったんで、現場では重宝されましたね。
「5年経てばレガシー」若者にも積極的に教わりに行く姿勢
ーー使用している言語についてもお伺いしてもよろしいでしょうか?
PHP、Perl、Python、Javascript、C++、C 辺りです。SwiftやGo、Rustにはまだ手は出していないですが必要になったら勉強する予定です。新しい言語やテクノロジーに関しては若い人に聞くようにしています。
ーー若い方に教わりに行く姿勢は素晴らしいですね。
この業界は5年経つと、第一線でやっていることもレガシーになってしまうんですよね。今後の新しい5年になるものを若者が知っていたら、積極的に聞きに行くべきだと思い、自分はそうしています。「老害」にだけはなりたくないという気持ちが強いのもありますが(笑)。
ーー他のエンジニアの方と交流はいかがでしょうか
Twitterでの交流が多いですね。みんながTwitterに書く愚痴は気づきが多くてありがたい。
もちろん会社の悪口とかじゃなくて、「この言語のここがおかしい!」とか「ここが上手く動かない!」とかを見て、「あ、これだと動かないんだな」と気づかせてもらえるんですよね。こういうやり方でネガティブな気持ちをポジティブに変えるのは、エンジニア界隈ならではだと思います。
ーーお使いのデバイスについてもお伺いさせてください
生粋のMac派なんですが、子供もいて自由に使えるお金が少ないのでWindowsを……。開発では15年以上Macを使っていましたね。MacはOSがUNIXだったのに憧れてました。
ーーよく使うツールは何でしょうか?
VScodeは軽くなってから愛用しています。最初の頃はすごいと思わなかったんですが、アップデートごとにどんどん良くなっていったので。貸与端末でサーバーに入ってやるのは別のエディターなんですけど(笑)。
,小学生の頃から独学でプログラミング。雑誌への応募も
ーープログラミングに興味を持ったきっかけをお伺いしてもよろしいでしょうか?
昔は家電屋に行くと自由に使えるパソコンが置いてあったりしたんです。小学生の頃、そこで触ってみたのがきっかけだったと思います。カセットテープを持っていって1日2〜3時間コツコツプログラミングして、最初は『平安京エイリアン』の真似みたいなゲームを作ってました(笑)。
作ったプログラミングを小学生の頃から雑誌に投稿してて、中学生の頃にはもらった懸賞金で自分用のパソコンを買いました。
ーーすごいですね!
プログラマーになりたいって言った時は、親には大反対されましたけどね(笑)。
「21世紀にはみんなポケットにパソコンを入れる時代が来る!」って説得しました。学研か何かの教育雑誌の受け売りでしたが(笑)。高校卒業後に専門学校に入り、そこで初めて仕事としての正しいプログラミングを学べました。元々我流で組んでたので、人に見せられるようなプログラミングというか。
ーーゲームやコンピューターの進歩と共に歩んで来られたのですね。
PCやゲームの進化していくさまを、利用者じゃなく開発側として見て来られたのは貴重な経験です。ありがたいですね。
今後出したい本は「博物館」?
ーー今後やってみたいことをお伺いしてもよろしいでしょうか?
開発メインでやりつつ、色んな会社さんともお付き合いしていきたいですね。開発以外だと、最近本を出しているのでそっちも続けていきたいです。
ーー本を出されているんですね! プログラミング関連の書籍でしょうか?
昔から本を出したいなという思いはあったので、ようやく形になりました。
2021年の9月にWebスクレイピングの本を出版させていただきました。( https://nextpublishing.jp/book/13812.html )
出たばかりですが2月にエンジニア向けに、求職者側から書いたカジュアル面接の本も出させていただいてます。
今後も技術者向けでトレンドを追った本を出していきたいですね。AWSとか、流行ってきているWebスクレイピングとか。あとは暇ができたらレガシーの本も作りたいです。守秘義務違反にならない程度に昔作ったものを紹介する、ソフトエンジニア向けの博物館のような本も作りたい。ですが、こっちは中々企画書が通らないんですよね(笑)。
ーープログラミングだけでなく、本までお書きになられるのはなぜですか?
そこまでしないと自分はエンジニアとしては稼げないのかなという気持ちがあるんですよね。使われるのはもちろん嫌いじゃないけど、それだけじゃ面白くないので色々なことをやってみたい。いろんな会社さんと開発したり、お手伝いできるのはフリーランスの醍醐味。開発の手伝いや執筆も、自分で企画も出しますし、共著もお願いされたらやる。広がりが持てるものに関しては、仕事じゃなくてもどんどんやっていきたいですね。
・今の就業形態:業務委託(フリーランス)です。
・現在の仕事:システム改善、現状動いているシステムのフルリニューアル対応、AWS上での最適化などを担当してます。
・得意分野:全ての工程のほか、本番環境における突発対応などの調査系も得意です。
・使用言語・スキル:得意言語はPerl、Python、PHP、Shell scriptで、JavaもRubyもできる。
・仕事で大事にすること:楽しく仕事すること、それと知見を残すように心がける。
・今後やってみたいこと:新しい事業にチャレンジしていきたい、また経営者視点をもった仕事もやってみたい。