音楽系専門学校からSEに。プログラミングの面白さに目覚めた、齊藤駿太さん(E3メンバーインタビュー)

on 2020.12.04
音楽系専門学校からSEに。プログラミングの面白さに目覚めた、齊藤駿太さん(E3メンバーインタビュー)

E3コミュニティメンバーの皆さんはどんな思いでいま仕事をしているのか。今までの経歴や成功・失敗体験も含めてお話を伺っていきます。今回インタビューしたのは「株式会社ミックスソフト」の代表取締役をされている齊藤駿太さん。元々はレコーディングなどの技術を学ぶ音楽系の専門学校におられた齊藤さんですが、いろんなきっかけでシステムエンジニアになり、プログラミングの面白さに目覚めたといいます。今までのキャリアや勉強法について伺いました。

ライター:平田提


30歳を区切りに独立を決意

――齊藤さんは「株式会社ミックスソフト」の代表をされていますが、事業内容はどんなものなんでしょうか?

齊藤さん:2020年1月に立ち上げた会社で、いま私を含めて社員は2人です。
事業内容はシステムの受託開発がメインです。過去の職歴の中で受託開発の案件に関わる機会も多かったので、自身の経験を活かして独立しました。

https://mix-soft.com/

――独立のきっかけって何だったんですか?

齊藤さん:もともとSEとして1社、フロントエンドエンジニアとして2社経験して、前職は代表1人の会社に2人目の社員として参加しました。そこで3年ぐらい勤めた中で案件をどうやって取ってくるのかといった話や、開発会社としてどうやっていくかがだんだん分かってきたこともあって、30歳になる直前、29歳のときに会社をつくりました。30歳という年齢が1つのきっかけでした。

――30歳というのはどういう区切りだったんですか?

齊藤さん:気持ち的な問題ですね。独立するなら30代に入る前……というのは以前から考えていました。それと前の会社にいるときに、家を建てたんです。フリーランスだと住宅ローンが通りにくいという話を聞いたことがあってそうしたんですが、これで準備もできたし独立しようと。

――段取りがきちんとされてますね! お仕事はどういったルートで探されたんですか


齊藤さん:前職からのコネクションでお仕事をいただくことが多いです。最近はWantedy などでスカウトがけっこうくるので、興味のある募集に対しては、法人化した旨を返信するのですが、そこからお仕事に繋がるということもありました。あとはE3の大津さんにもご相談したり。 

使いやすくきれいなUIをつくるフロントエンドの面白さ

――大津さんとはどうやって知り合ったんですか?

齊藤さん:ビジネスマッチングアプリの「yenta(イエンタ)」でマッチングして面白そうだな、と。お話してみると親身になって聞いてくれたので、E3にも参加することになりました。

――E3の中ではどんなことをされているんですか?

齊藤さん:勉強会に参加したり、他のエンジニアの方と交流したりしています。

――齊藤さんはプログラミング言語でいうと主に何を使われるんですか?

齊藤さん:フロントエンドエンジニアなので、JavaScriptを中心にHTML・CSSが多いです。バックエンドもやるのでRails(Ruby)、Laravel(PHP)あたりも触りますが、それはフロントエンドを気持ちよく書くために頑張っている感じです。

――どういった案件が多いんでしょうか。

齊藤さん:コーポレートサイトやECサイト、メール配信システム、後はクライアントが社内で使われる業務アプリが多いですね。社内の情報管理や、例えば月々の光熱費の履歴を見やすくするためにチャートと表を組み合わせてダッシュボードとして提供するといったようなものもありました。

――フロントエンドのお仕事で面白いところってどんなところですか?

齊藤さん:先ほど言ったようなグラフなどはデザイナーさんに見た目をまず作ってもらうんですが、それをどうコードで再現するかを試行錯誤している時には面白さを感じますね。既存のライブラリでできることもあるんですが、デザイナーさんが欲しかったものとは違ってくる場合も多いです。そこを試行錯誤して実現できたときの達成感が好きです。もちろん見た目と実用性のバランスが大事なので、そこの調整も含めて面白いですね。

――グラフの表現はCSSでやられるんですか?

齊藤さん:そうですね、CanvasやSVG、CSSといったものを駆使して作ることが多いかと思います。グラフの点をホバーすると数値が出たり、動きや見た目が変わったり。というときにはJSも使います。最近は良くできたUIに普段から触れているためか、ユーザーが想定する「当たり前品質(※)」のレベルが高くなってきているんですよね。そのレベルをまず実現したいと思っています。意識せずとも使いこなせるものがいいUIだと思うので、奇抜とかではなく使いやすいUIにフォーカスして、うまくできたときが嬉しいです。

※ 注: [狩野モデル
における “当たり前品質”] (https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%A9%E9%87%8E%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB )

音楽系の専門学校からシステムエンジニアに。プログラミングの面白さに目覚める

――齊藤さんは学生時代からプログラミングをされていたんですか?

齊藤さん:いえ、高校時代は情報処理科だったんですがEXCELのVBAなどが中心でプログラミングやコンピュータサイエンスは学んでいませんでした。専門学校は音響科で、録音やミキシング、マスタリングについて勉強していたんですよ。

――けっこう今のお仕事とは毛色が違う感じですね。

齊藤さん:もともと音楽業界に興味があって勉強していたんですが、レコーディングスタジオなどの仕事は狭き門なんです。さらにCDなどより音楽配信が一般的になって、パソコンの性能も上がったのでアーティストが宅録できることも多くなってきました。専門学校を卒業しても働き先がないことが多くて、私は運良くレコーディングスタジオにアルバイトとして入れたのですが掃除・お茶くみ・電話番で週6勤務、帰れない……みたいなことも多くて。それだけ頑張っても給料は安かったんです……。

――おお……それは大変そうです。

齊藤さん:その給料じゃ暮らしていけないんですよね。今の妻と結婚することも考えていたので、職を変えようと未経験でSEとして就職しました。

――最初はどんなお仕事をされていたんですか?

齊藤さん:コールセンターのシステム開発です。アナログ電話とCRMなどを連携するCTI(Computer telephony integration)と呼ばれる領域の仕事でした。
まずはテスト要員として働き始めて、業務の合間にJavaの基礎やLinuxでのシステム管理の基礎といった内容の研修を受けることが出来ました。Javaを使ったバッチアプリケーションを書かせてもらうところから業務としてのプログラミングを始め、3年ぐらい経った頃にはRubyを自分で勉強し始めました。Ruby on Railsを勉強しているときにWebサイトやアプリ開発の面白さに目覚めました。

――齊藤さんにプログラミングは水が合ってたんですね。プログラミングはどういった方法で勉強されたんですか?


齊藤さん:画面を写しながらプログラミングを動画で説明してくれる「ScreenCast(スクリーンキャスト)と呼ばれる動画学習」が中心でした。「 RailsCasts 」や「 egghead.io 」をよく見ていました。スクリーンキャストはマニュアルや技術書に比べて、よく使う細かい単位で解説してくれるのがいいんです。動画を観て勘所をつかんでから自分でコードを書くと身につきやすかったんです。

――動画自体は英語なんですね。

齊藤さん:プログラミングと同時に英語の勉強にもなるんですよね。しゃべっていることが分からないときもあるんですが、画面を見ながら聞いているとなんとなく理解できるようになりました。

将来的にプログラミングスクールをつくって、受けた恩を返したい

――スクリーンキャストでプログラミングと英語を覚えるのは一石二鳥ですね。英語はお仕事に活かされていますか?

齊藤さん:以前Goodpatchという会社にいたんですが、ドイツの支社に2カ月ほど行く機会があったんです。そのときは英語を学んでいたおかげでヒアリングはよくできました。話すのは難しかったですが、Google翻訳でググりながら切り抜けました。
弊社は社員が2人というお話をしましたが、もう1人は10月にフロントエンドエンジニアとして採用したアメリカ出身の方なんです。日本語は少し喋れるんですが、普段は英語でコミュニケーションしています。

――めちゃくちゃ英語の勉強が役に立っていますね!

齊藤さん:Wantedlyで募集記事(日本語)を公開したのですが、Google翻訳しながら頑張って記事を読んで応募してきてくれたようでした。外国人からの応募は想定してなかったので、そこから興味を持ったのがきっかけです。技術面接をしたところコーディングの素養もありそうだったので、良いなと思い採用しました。

――将来的にミックスソフト、齊藤さんとしてやってみたいことはありますか?

齊藤さん:創業のもう一つのきっかけが、以前の職場にいる時に、研究開発の一環(+個人開発)で作っていたプロダクトなんです。GraphQLという技術を使ったAPIサーバの自動生成サービスなんですが、DBのテーブル構造に基づいて、自動でモデル(+ リレーション)を解析し、対応するAPIを自動生成するという仕組みです。フロントエンドを書くためにバックエンド頑張ってるという話をしましたが、完全に自動化するっていうのは難しいんですけど、少しでもバックエンドの処理を書くのに掛かっていた工数が削減できれば良いなと。今は自社プロダクトとして公開できる形を目指して開発中で、ゆくゆくは他の開発者の方にご利用いただいて、Web開発の効率化にもつなげられれば良いなと思っています。

他には事業としてフロントエンドを中心にしたプログラミングスクールをやってみたいと思っています。最初の会社で研修を受けさせてもらったので今の自分があるので、受けた恩を返す意味でも。E3でメンタリングの企画を大津さんとも話しているんですが、メンター探している方がいればぜひお話したいなと思っています。

――「受けた恩を返す」というのは素晴らしいですね。今日はありがとうございました!

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